2007年 09月 22日
ピーター・ブリューゲル物語―絞首台の上のカササギ |
先日読んだ『カラヴァッジョ―殺人を犯したバロック画家』と同じタイプの本。スペインによる圧制に苦しむ16世紀ネーデルランドに生きた画家ピーター・ブリューゲル(父)の生涯を事実と想像を織り交ぜて描いた小説です。
ここのところ急にブリューゲルに興味が湧いて画集や解説書を読んでいたんですが、書かれた時代や著者によって言ってることがまるで違うのにびっくりです。「狂女フリート」を当時のネーデルランドにおける女性の隷属的な立場に対する反乱だ、と書いている人までいて、いくらなんでもそれは飛躍しすぎでは?と思ったりもしましたが。
16世紀のことですから資料がきちんと残っているわけではなく、ある程度までは想像で補うしかないからでしょうね。で、新しい資料が発見されたり、絵の科学的分析で異なる発見があったりするとそれまでのものが書き直されるという具合なのでしょう。
ヴィゴが主演した映画「アラトリステ」にはネーデルランドで戦うスペイン兵が出てきましたが、それをネーデルランド側から見るとどうだったか、というのがこの本の中にあります。フェリペ2世の意を受けて冷酷な異端弾圧を行ったグランヴェル枢機卿、圧制をはねのけようと立ち上がった人たちを虫けらのように踏み潰すために送られたアルバ公の軍勢、いやはや、こんな時代によくもまあ絵なんて描けたものだと感心してしまいます。こんな時代だったからこそああいう絵が生まれたと言えるのかな。
想像力をふくらませすぎて(というかありがちな線に落ち着きすぎて)、最後のほうでちょっと「うへえ」と思う部分もありましたが、当時のネーデルランドの状況や人々の暮らしぶりが事細かに描かれていて、とても説得力がありました。
ピーター・ブリューゲル物語―絞首台の上のカササギ (エディションq)
原題:Die Elster Auf Dem Galgen
作者:ヨーン フェレメレン
訳者:鈴木 久仁子、相沢 和子
出版社:エディションq
ISBN:4874176836
ここのところ急にブリューゲルに興味が湧いて画集や解説書を読んでいたんですが、書かれた時代や著者によって言ってることがまるで違うのにびっくりです。「狂女フリート」を当時のネーデルランドにおける女性の隷属的な立場に対する反乱だ、と書いている人までいて、いくらなんでもそれは飛躍しすぎでは?と思ったりもしましたが。
16世紀のことですから資料がきちんと残っているわけではなく、ある程度までは想像で補うしかないからでしょうね。で、新しい資料が発見されたり、絵の科学的分析で異なる発見があったりするとそれまでのものが書き直されるという具合なのでしょう。
ヴィゴが主演した映画「アラトリステ」にはネーデルランドで戦うスペイン兵が出てきましたが、それをネーデルランド側から見るとどうだったか、というのがこの本の中にあります。フェリペ2世の意を受けて冷酷な異端弾圧を行ったグランヴェル枢機卿、圧制をはねのけようと立ち上がった人たちを虫けらのように踏み潰すために送られたアルバ公の軍勢、いやはや、こんな時代によくもまあ絵なんて描けたものだと感心してしまいます。こんな時代だったからこそああいう絵が生まれたと言えるのかな。
想像力をふくらませすぎて(というかありがちな線に落ち着きすぎて)、最後のほうでちょっと「うへえ」と思う部分もありましたが、当時のネーデルランドの状況や人々の暮らしぶりが事細かに描かれていて、とても説得力がありました。
ピーター・ブリューゲル物語―絞首台の上のカササギ (エディションq)
原題:Die Elster Auf Dem Galgen
作者:ヨーン フェレメレン
訳者:鈴木 久仁子、相沢 和子
出版社:エディションq
ISBN:4874176836
by timeturner
| 2007-09-22 16:47
| 和書
|
Comments(0)