2007年 02月 23日
500年のトンネル 上・下 |

金原さんの訳だし、あらすじからして『ドゥームズデイ・ブック』を思わせて私好みかと思ったのですが・・・う~ん、はずれだったかなあ。まあ、上・下巻を一気に読んでしまったのだから面白くなかったわけではないのですが、それはストーリー展開が波乱万丈で「どうなるんだろお?」という好奇心に駆られてのことであって、読んでいる途中も読み終わったときもカタルシスのようなものは得られませんでした。
なぜかというと出てくる人たちの誰ひとりとして好きになれなかったから。特に狂言回しのような役を演じるアンドリアがめちゃくちゃ頭が悪くて自分勝手なのがなんともはや。おまけに彼女が恋人にするスターカーム一族の頭領の息子ピーアがまだ「美少年」と呼ばれるような年齢で、いくらアンドリアが大学を出たばかりの若さとはいっても、なんだか変態ちっくだし。ジュニア向きの小説だから読者層を考えるとそれでもOKなのかなあ。
巻末の解説によるとスターカーム一族にはモデルがあって、13世紀から16世紀にかけてスコットランドとイングランドの国境地域に割拠していたボーダーランド・リーパーズという無法者集団があったらしい。首長を中心に氏族(クラン)を形成し、羊の放牧と強奪、誘拐、放火などをし放題だったそう。そういえばショーンが出た「Lorna Doone」というR.D.ブラックモアの小説をもとにした映画でもドゥーン一族というのが似たような感じでした。ふ~む、ピーアを若い頃のショーンに置き換えて読むと少しは楽しめたのかも(^^;)。
500年のトンネル(上)
500年のトンネル(下)
原題:The Sterkarm Handshake
作者:スーザン・プライス
訳者:金原 瑞人、中村 浩美
出版社:東京創元社
ISBN:978-4488599010、978-4488599027
by timeturner
| 2007-02-23 22:33
| 和書
|
Comments(2)

あ、私もこれ嫌い(なので、引越しの時に処分しちゃった ^^;)
やっぱり主人公の女がダメ。もう読んでる最中何回放り投げてくれようか?と思ったか、ってくらい。
美少年の方はまだアリかなぁ... って感じでしたが、でもあんな女に惚れるようじゃなぁ(苦笑)
だけど、ネタというか話の流れは悪くないんですよね。 だから一層イラついたのかも。
やっぱり主人公の女がダメ。もう読んでる最中何回放り投げてくれようか?と思ったか、ってくらい。
美少年の方はまだアリかなぁ... って感じでしたが、でもあんな女に惚れるようじゃなぁ(苦笑)
だけど、ネタというか話の流れは悪くないんですよね。 だから一層イラついたのかも。
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ふつう女性作家が書く女性の主人公には共感しやすいものなのにね。もしかしたらアンドリアは作者の自己投影だったりして(^^;)。でぶで大女でも中世では美人、っていう設定は気に入ったのに・・・。