2007年 01月 04日
異端審問に関する本 |
あまりお正月にふさわしい内容じゃありませんが、とりあえず読んだ順にざっと覚書を。
『尼僧と悪魔―異端審問と妖術裁判』
フランスにおける異端審問と魔女裁判がメインに書かれています。
中世の人々の物の考え方を現代に生きる私たちの基準ではかることはできないとわかってはいても、同じ人間がどうしてここまで残酷になれるのかと驚いてしまいます。先日読んだ『The Historian』に出てきたドラキュラ伯爵のような他人の苦しみを自らの喜びと感じるような人たちが教会の後ろ盾を得て先頭に立ち、権力欲や物欲、さらには歪んだ性欲までも満たそうとした、というのが異端審問の真相でしょうか。
でも、一般人だって密告したり磔刑を喜んで見物したりしてたんですよね。私がこの時代に生きていたとしたら、やっぱりそうなるんだろうな。魔女にされたりして。
尼僧と悪魔―異端審問と妖術裁判
著者:吉田八岑
出版社:北宋社
ISBN:4938620189
『異端審問』
タイトルは「異端審問」だけれど中身は評論集だというのは承知の上で、名著だと聞いて借りてみました。
が、教養のない私にはか~なり難しくて、ちょっと歯が立ちませんでした。論じられている対象をよく知らなければいくら評論がうまく書けていてもちんぷんかんぷんです。ここで取り上げられている作家や詩人の作品をたくさん読んでいて、きちんと理解している人ならきっとすごく興味深く読めるのでしょう。
この年になってつくづく思うのですが、知識というのは試験や仕事、あるいは恥をかかないために身につけるものではなく、自分の人生を豊かに楽しむために必要なんですよね。砂に水が吸い込むように新しい知識を吸収できた若いときにもっと貪欲に知識を得ようとしなかったのが本当に悔やまれます。今は読むそばから忘れていくんだもん。
ひとつ驚いたことは、ケベードが取り上げられていたこと。そもそも異端審問に興味をもつきっかけとなった『アラトリステ』に登場するスペインの作家です。ボルヘスさん、どうもケベードの大ファン(?)らしくべた褒めでした。『アラトリステ』の中では詩人として描かれている(芝居を書くエピソードもありますが)ケベードですが、著作家としてすごく広範囲な才能をもっていたんですね。
異端審問
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:中村健二
出版社:晶文社
ISBN:4794924453
『異端審問』
さすが新書で、とてもわかりやすかった。全体的な視点で見ているから偏りがないし。それだけに掘り下げが足りないと言えば言えますが、正直言って異端審問を掘り下げても気持ちのいい話は出てきませんし。上で書いている魔女裁判メインの本などは、読んでいて背筋が寒くなりました。異端審問がどういうものだったかの概括を知るためだったらこれ1冊で充分だったかも。
異端審問
著者:渡辺昌美
出版社:講談社現代新書
ISBN:4061493124
『尼僧と悪魔―異端審問と妖術裁判』
フランスにおける異端審問と魔女裁判がメインに書かれています。
中世の人々の物の考え方を現代に生きる私たちの基準ではかることはできないとわかってはいても、同じ人間がどうしてここまで残酷になれるのかと驚いてしまいます。先日読んだ『The Historian』に出てきたドラキュラ伯爵のような他人の苦しみを自らの喜びと感じるような人たちが教会の後ろ盾を得て先頭に立ち、権力欲や物欲、さらには歪んだ性欲までも満たそうとした、というのが異端審問の真相でしょうか。
でも、一般人だって密告したり磔刑を喜んで見物したりしてたんですよね。私がこの時代に生きていたとしたら、やっぱりそうなるんだろうな。魔女にされたりして。
尼僧と悪魔―異端審問と妖術裁判
著者:吉田八岑
出版社:北宋社
ISBN:4938620189
『異端審問』
タイトルは「異端審問」だけれど中身は評論集だというのは承知の上で、名著だと聞いて借りてみました。
が、教養のない私にはか~なり難しくて、ちょっと歯が立ちませんでした。論じられている対象をよく知らなければいくら評論がうまく書けていてもちんぷんかんぷんです。ここで取り上げられている作家や詩人の作品をたくさん読んでいて、きちんと理解している人ならきっとすごく興味深く読めるのでしょう。
この年になってつくづく思うのですが、知識というのは試験や仕事、あるいは恥をかかないために身につけるものではなく、自分の人生を豊かに楽しむために必要なんですよね。砂に水が吸い込むように新しい知識を吸収できた若いときにもっと貪欲に知識を得ようとしなかったのが本当に悔やまれます。今は読むそばから忘れていくんだもん。
ひとつ驚いたことは、ケベードが取り上げられていたこと。そもそも異端審問に興味をもつきっかけとなった『アラトリステ』に登場するスペインの作家です。ボルヘスさん、どうもケベードの大ファン(?)らしくべた褒めでした。『アラトリステ』の中では詩人として描かれている(芝居を書くエピソードもありますが)ケベードですが、著作家としてすごく広範囲な才能をもっていたんですね。
異端審問
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:中村健二
出版社:晶文社
ISBN:4794924453
『異端審問』
さすが新書で、とてもわかりやすかった。全体的な視点で見ているから偏りがないし。それだけに掘り下げが足りないと言えば言えますが、正直言って異端審問を掘り下げても気持ちのいい話は出てきませんし。上で書いている魔女裁判メインの本などは、読んでいて背筋が寒くなりました。異端審問がどういうものだったかの概括を知るためだったらこれ1冊で充分だったかも。
異端審問
著者:渡辺昌美
出版社:講談社現代新書
ISBN:4061493124
by timeturner
| 2007-01-04 17:12
| 和書
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