2006年 06月 05日
カイト・ランナー |
主人公のアミールと幼馴染のハッサンは身分の違いにもかかわらず兄弟のように育ってきたが、ある事件をきっかけにすべてがねじれてしまう。友情と反発、英雄的な父への憧れと愛してもらえない哀しみ、自らの臆病さ、卑怯さと向き合う恐ろしさ。そして時代はソ連軍の侵攻からタリバン政権へと移り、アフガニスタンは狂気の国となる。
読み始めたとき実話だと思っていて、途中でフィクションだと気づいたんですが、その後も何回も実話だと考えている自分を「フィクションなんだから」と言い聞かせることを繰り返しました。それほどリアル。時代の波に翻弄されるアフガニスタンとそこに住む人々の姿はもちろん正視に堪えないほどリアルに辛いんですが、それ以上に感受性の強い少年の愛、夢、恐怖、絶望、そして自己嫌悪を露悪的なまでにリアルに描いていて読む側に実話だと錯覚させてしまうんですよね。
イスラム教徒の物の考え方というのは(現代日本も含め)西洋的なものとはかなり違うと思ってきたのですが、この本を読む限りではほとんど変わりません。特に罪悪感に関して。この作者がアメリカに長く住んでいるということと関係しているのかなとも思ったけど、結局人間の本質は変わらないということなんでしょうね。醜いものも崇高なものもひとりの人間の中に同時に存在することができるということが。
タイトルは原題をカタカナにしただけですが本文では「凧追い」と訳されています。どうして書名だけカタカナにしたのか不明。欧米文学みたいで合わない気がするんですが。
カイト・ランナー
原題:The Kite Runner
作者:カーレド・ホッセイニ
訳者:佐藤耕士
刊行:アーティストハウス
読み始めたとき実話だと思っていて、途中でフィクションだと気づいたんですが、その後も何回も実話だと考えている自分を「フィクションなんだから」と言い聞かせることを繰り返しました。それほどリアル。時代の波に翻弄されるアフガニスタンとそこに住む人々の姿はもちろん正視に堪えないほどリアルに辛いんですが、それ以上に感受性の強い少年の愛、夢、恐怖、絶望、そして自己嫌悪を露悪的なまでにリアルに描いていて読む側に実話だと錯覚させてしまうんですよね。
イスラム教徒の物の考え方というのは(現代日本も含め)西洋的なものとはかなり違うと思ってきたのですが、この本を読む限りではほとんど変わりません。特に罪悪感に関して。この作者がアメリカに長く住んでいるということと関係しているのかなとも思ったけど、結局人間の本質は変わらないということなんでしょうね。醜いものも崇高なものもひとりの人間の中に同時に存在することができるということが。
タイトルは原題をカタカナにしただけですが本文では「凧追い」と訳されています。どうして書名だけカタカナにしたのか不明。欧米文学みたいで合わない気がするんですが。
カイト・ランナー
原題:The Kite Runner
作者:カーレド・ホッセイニ
訳者:佐藤耕士
刊行:アーティストハウス
by timeturner
| 2006-06-05 22:20
| 和書
|
Comments(2)
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by
さやか
at 2006-06-06 11:59
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あ、これ、友人が原書で読んで、すごくいいよ~と教えてくれた本です。魂をはげしく揺さぶられたい気分になったら、読んでみたいです。
すでに映画化も決まっていると聞いたのですが、まずは本で堪能したいです。
すでに映画化も決まっていると聞いたのですが、まずは本で堪能したいです。
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by
shoh
at 2006-06-06 13:11
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さやかさん
ふ。さんが薦めてくれたのでどういう内容かも知らずに図書館にリクエストしたのですが、読み始めたら途中でやめられなくて1日で読んでしまいました。翻訳もとてもいいです。
映画化したら成功しそうですけど、あんまり反タリバンキャンペーンみたいな内容にはしてほしくないなあ。
ふ。さんが薦めてくれたのでどういう内容かも知らずに図書館にリクエストしたのですが、読み始めたら途中でやめられなくて1日で読んでしまいました。翻訳もとてもいいです。
映画化したら成功しそうですけど、あんまり反タリバンキャンペーンみたいな内容にはしてほしくないなあ。