2006年 02月 09日
プライドと偏見 |
タイトルがやっぱり不自然かなあ。確かにprideを「高慢」と訳すのはちょっと違うとは思うんですが、カタカナの「プライド」もまた違うと思うんだけどなあ。でもきっと日本語ではうまく表現できない言葉なんでしょうね。日本人本来の感性からは出てこないような。
原作は高校生のときに読んだんですが、そのときにはミスター・ダーシーにはまったく魅力を感じませんでした。エリザベスが(当時の私には)理想的な女性に見えたのに対して、ダーシーのほうは最後のほうでいろいろ美点を披露しているかのように描いてはいるけれど、そのどれにもそれほど感心はできなくて「結局はお金があるだけじゃない」というような感想しか持てませんでした。
コリン・ファースが出ているというので見たBBCのドラマではとにかくコリンが演じているというだけで目が眩み、「ダーシー様、すてき!」と思ったのですが、それは完全に彼のルックスと演技に幻惑されていたからだと思います。
というわけで、予告編を見たときから「今度のダーシーは冴えないなあ」と思っていたこの映画にははなから期待はしていませんでした。とりあえずキーラ・ナイトレイがどう演じるのかを見るだけでいいと思ってたんです。
が、これが意外な拾い物でした。ダーシーには予想通り男性としての魅力は感じなかったんですが、この年になって初めて、「そうか、オースティンはこういう恋物語が書きたかったのか」と納得しました。原作をそのまま読んだだけではあまりにも現代人の暮らしや物の考え方とかけはなれていて違和感ありありだったところが、とてもうまく現代風に変えてあって、素直に受け止められます。おそらく原作を読んだことのない若い女性にも普通に理解できたんじゃないかな(長い話を映画化のためにカットしてわかりにくくなった部分はあったかもしれないけれど)。
それとTVのときは予算の関係で今いちだった部分(ダーシーの邸や領地、自然の風景など)がぐんとスケールアップして説得力が増していました。また、ベネット家の家屋やその暮らしぶりも細部まで描かれていて、当時の田舎紳士の生活というのがよくわかりますし、最初のほうの舞踏会のシーンはいかにも田舎くさいセッティングや踊り方になっていて、ロンドンから来たダーシーたちの目にどう映ったのかというのが納得できます。
セリフは意外に原作どおりの言葉を使っていました。古風だけれどすごくきれいな英語です。出演者のほとんどが英国人なので発音も完璧。ミスター・ウィッカムを演じたハンサムさんは顔もオーランド・ブルーム似でしたが声と発音がオーランドそっくりでした。顔立ち(特に口の周り)が似てると声も似るのかなあ。
キーラはエリザベスの性格を原作よりさらに強くしたような演技でしたが、なかなかよかったです。ただ、当時の女性で美人と言われるためにはもう少し肉がついてないと厳しい。どうせなら「パイレーツ・オブ・カリビアン」のときみたいに胸のメイクをすればよかったのに・・・。
ジェーン役はロザムンド・パイクで先日グアムで見た「Doom」に出てた人でした。私が原作から想像するジェーンはとにかく絶世の美女のはずなのでTVドラマのときの人にはかなりがっかりしたんですが、今回は「すごくきれい」とは言えないものの、まあまあ納得できる線でした。性格のよさそうなところはぴったり。
父親役のドナルド・サザーランドはおそらく唯一の非英国人俳優だったと思いますが、母親役のブレンダ・ブレシンと共にいい味出してました。ジュディ・デンチはぴったりの配役だし、やっぱり巧かったけど出番が少なくて残念でした。
ところでエンド・クレジットの最後に Special Thanks to Emma Thompson とあったのですが、どうしてなんでしょう? 「いつか晴れた日に」でオースティン物の経験がある彼女が何か助言した?
原題: Pride & Prejudice(2005)
上映時間: 127 分
製作国: イギリス
監督: ジョー・ライト
出演: キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン、ドナルド・サザーランド、ブレンダ・ブレシン、ロザムンド・パイク、ジュディ・デンチ、サイモン・ウッズ、ルパート・フレンド、トム・ホランダー、クローディー・ブレイクリー、ジェナ・マローン、キャリー・マリガン、タルラ・ライリーほか。
原作は高校生のときに読んだんですが、そのときにはミスター・ダーシーにはまったく魅力を感じませんでした。エリザベスが(当時の私には)理想的な女性に見えたのに対して、ダーシーのほうは最後のほうでいろいろ美点を披露しているかのように描いてはいるけれど、そのどれにもそれほど感心はできなくて「結局はお金があるだけじゃない」というような感想しか持てませんでした。
コリン・ファースが出ているというので見たBBCのドラマではとにかくコリンが演じているというだけで目が眩み、「ダーシー様、すてき!」と思ったのですが、それは完全に彼のルックスと演技に幻惑されていたからだと思います。
というわけで、予告編を見たときから「今度のダーシーは冴えないなあ」と思っていたこの映画にははなから期待はしていませんでした。とりあえずキーラ・ナイトレイがどう演じるのかを見るだけでいいと思ってたんです。
が、これが意外な拾い物でした。ダーシーには予想通り男性としての魅力は感じなかったんですが、この年になって初めて、「そうか、オースティンはこういう恋物語が書きたかったのか」と納得しました。原作をそのまま読んだだけではあまりにも現代人の暮らしや物の考え方とかけはなれていて違和感ありありだったところが、とてもうまく現代風に変えてあって、素直に受け止められます。おそらく原作を読んだことのない若い女性にも普通に理解できたんじゃないかな(長い話を映画化のためにカットしてわかりにくくなった部分はあったかもしれないけれど)。
それとTVのときは予算の関係で今いちだった部分(ダーシーの邸や領地、自然の風景など)がぐんとスケールアップして説得力が増していました。また、ベネット家の家屋やその暮らしぶりも細部まで描かれていて、当時の田舎紳士の生活というのがよくわかりますし、最初のほうの舞踏会のシーンはいかにも田舎くさいセッティングや踊り方になっていて、ロンドンから来たダーシーたちの目にどう映ったのかというのが納得できます。
セリフは意外に原作どおりの言葉を使っていました。古風だけれどすごくきれいな英語です。出演者のほとんどが英国人なので発音も完璧。ミスター・ウィッカムを演じたハンサムさんは顔もオーランド・ブルーム似でしたが声と発音がオーランドそっくりでした。顔立ち(特に口の周り)が似てると声も似るのかなあ。
キーラはエリザベスの性格を原作よりさらに強くしたような演技でしたが、なかなかよかったです。ただ、当時の女性で美人と言われるためにはもう少し肉がついてないと厳しい。どうせなら「パイレーツ・オブ・カリビアン」のときみたいに胸のメイクをすればよかったのに・・・。
ジェーン役はロザムンド・パイクで先日グアムで見た「Doom」に出てた人でした。私が原作から想像するジェーンはとにかく絶世の美女のはずなのでTVドラマのときの人にはかなりがっかりしたんですが、今回は「すごくきれい」とは言えないものの、まあまあ納得できる線でした。性格のよさそうなところはぴったり。
父親役のドナルド・サザーランドはおそらく唯一の非英国人俳優だったと思いますが、母親役のブレンダ・ブレシンと共にいい味出してました。ジュディ・デンチはぴったりの配役だし、やっぱり巧かったけど出番が少なくて残念でした。
ところでエンド・クレジットの最後に Special Thanks to Emma Thompson とあったのですが、どうしてなんでしょう? 「いつか晴れた日に」でオースティン物の経験がある彼女が何か助言した?
原題: Pride & Prejudice(2005)
上映時間: 127 分
製作国: イギリス
監督: ジョー・ライト
出演: キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン、ドナルド・サザーランド、ブレンダ・ブレシン、ロザムンド・パイク、ジュディ・デンチ、サイモン・ウッズ、ルパート・フレンド、トム・ホランダー、クローディー・ブレイクリー、ジェナ・マローン、キャリー・マリガン、タルラ・ライリーほか。
by timeturner
| 2006-02-09 01:01
| 映画
|
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