2019年 07月 19日
幸子の庭 |
小6の幸子は親友が転校してしまったことをきっかけにクラスメイトとなじめなくなり、ずっと学校に行けていない。岡山で暮らす久子曾お婆ちゃんが、死ぬ前の最後の見納めに東京のこの家を訪ねてくる日が4日後に迫った朝、両親が深刻な顔で話しあう内容を聞いて唖然とした。2年の間手入れをせずにいた庭がお化け屋敷のように荒れているのだが、繁忙期のためにどこの造園業者に問い合わせも来てもらえないのだという。このままでは久子曾お婆ちゃんに最悪の状態を見せることになってしまう・・・。
樹木をどう鑑賞するかを植木屋の立場から教えてもらえるのも楽しかった。ユリノキの話なんて幸子と一緒に「へえええ!」と言ってしまいました。画像検索したらほんとに葉っぱが半纏の形をしていた。花もかわいい。今度うちの近所でユリノキを探してみよう。
久子曾お婆ちゃんが懐かしい庭を幸子に手を引かれてめぐる最後のほうの章は、ちょっと感傷に寄りがちかなと思ったけれど、これまで読んできたことを踏まえてのカタストロフィーという点では必要なんでしょうね。特にまだ感性が柔らかい思春期の読者には。
外国の庭の話はこれまでけっこう読んできたし、庭仕事をすることで救われる話もあったけれど、西洋の庭と日本の庭ってまるで違うなあと思いました。イギリスの大きなお屋敷には専属の庭師がいるけど、一般家庭ではその家の住人が手入れをするのに対して、従来の日本の庭は庶民の家でも植木屋が入ることを想定しているんですよね。
日本の庭と植木屋の話、もっと読みたくなりました。
幸子の庭 (Y.A.Books)
作者:本多明
出版社:小峰書店
ISBN:4338144203
by timeturner
| 2019-07-19 19:00
| 和書
|
Comments(0)