2018年 10月 14日
Death Stops the Frolic |
第二次世界大戦下のイギリス。1941年10月のある日曜の午後、発展途上の工業町スウェアブリッジで、町の発展に寄与した今は亡きポグスレイ氏が建てたZion Chapelで、設立二十五周年祭が行われた。お茶会やコンサートが終わり、最後の〆は長老ハーバトルが率いる「Follow-my-leader」。信徒達がムカデのように連なって歌いながら行進するというものだったが、暗い教会内で先頭のハーバトルが突然消えた。床の落とし戸が開いていたため階下に落ちたのだ。だが、降りていった人々が発見したのは、胸にナイフを刺されて死んでいるハーバトルだった・・・。『Turmoil in Zion』を2020年に改題刊行。
〈リトルジョン警部〉シリーズ外の作品で地元警察署のNankivell警部が事件を担当する。刊行は1943年で『The Murder of a Quack』と同じ年。これを書きたくなった気持ちはわかるような気がする。リトルジョンが地方に呼ばれて事件を解決する方式が続いたから、これだけでいいのかって思ったんじゃないかな。
そう思って読むせいか、シリーズ物とは雰囲気がやや異なる。古めかしい言い回しが多いし、作者に近い語り手がちょくちょく顔を出し、We人称で語りまくる。最初は驚いたけど、これはこれで一緒に捜査している気になれて面白いかも。
それにしても、いい年をした大人たちがムカデ歩きをするゲームに興じるってなんなんだろう。おかげで殺人事件が起こってもみんなにアリバイがあったわけだけど(文中ではperpetuum mobile alibiと表現されている)。ヴィクトリア朝までなら、娯楽が少ないからと納得できるけれど、映画館もある町で車やラジオだってある時代にねえ。戦時中だからっていうのもあるのかな。
ところで、教会でのお茶会のメニューがこうなっている。
セロリが塩辛いなんて感じたことはなかったけど、そういえばセロリソルトというものもあったっけ。昔は噛み応えがある塩味の食物がお茶の友にされていたということ。昔の日本人がカリカリ梅や漬物でお茶を飲んだのと同じことかな。
Death Stops the Frolic
作者:George Bellairs
出版社:Agora Books
ISBN:Kindle版
そう思って読むせいか、シリーズ物とは雰囲気がやや異なる。古めかしい言い回しが多いし、作者に近い語り手がちょくちょく顔を出し、We人称で語りまくる。最初は驚いたけど、これはこれで一緒に捜査している気になれて面白いかも。
それにしても、いい年をした大人たちがムカデ歩きをするゲームに興じるってなんなんだろう。おかげで殺人事件が起こってもみんなにアリバイがあったわけだけど(文中ではperpetuum mobile alibiと表現されている)。ヴィクトリア朝までなら、娯楽が少ないからと納得できるけれど、映画館もある町で車やラジオだってある時代にねえ。戦時中だからっていうのもあるのかな。
ところで、教会でのお茶会のメニューがこうなっている。
a meal consisting of ham, tongue, brown and white bread, jam-cake, celery and tea.ハム、牛タン、パン、ジャムケーキまではわかるけど、なんでここにセロリ?と思ったのだけれど、調べてみるとかつてのイギリス人はお茶の時間にセロリを食べるのが当たり前だったみたい。こんな記事をみつけた。
セロリが塩辛いなんて感じたことはなかったけど、そういえばセロリソルトというものもあったっけ。昔は噛み応えがある塩味の食物がお茶の友にされていたということ。昔の日本人がカリカリ梅や漬物でお茶を飲んだのと同じことかな。
Death Stops the Frolic
作者:George Bellairs
出版社:Agora Books
ISBN:Kindle版
by timeturner
| 2018-10-14 19:00
| 洋書
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