2018年 08月 13日
Death in High Provence |
リトルジョンの自宅をある政府高官が訪ねてきた。彼の弟夫妻がプロヴァンスでドライブ中に木に激突して死亡した。現地警察は事故死と判定したが、どうにも納得できないので公務外の仕事として調べてほしいという依頼だった。妻のレティを伴い、観光客を装って出かけたサン・マルセランは、山上の城に住む侯爵がすべてを掌握する陰気な村で、リトルジョンはいつも誰かに見張られているように感じる・・・。1957年刊行。
とはいっても、ハイ・プロヴァンスはスイスに近い山間の地域なので、陽光あふれる田園地帯というイメージとはぜんぜん違う。住民の口も重く、秘密主義でよそ者には疑り深い目を向ける。没落貴族の城のすさまじい荒廃ぶりと合わせて、ちょっとゴシック小説を読んでいるような気分になった。
初めのうちは経費はスコットランド・ヤードもちで、夫婦でフランス旅行、ラッキーじゃん!と思ったけど、そんな楽しいものではなかった。
今回の登場人物はほとんどがフランス人ですが、これまたどいつもこいつも一癖も二癖もある面白い人ばかりで、楽しませてもらいました。閉鎖的でよそ者を嫌う村で、生来の礼儀正しさとつきあいの良さで、しっかり溶け込んでしまうリトルジョンはさすがです。『Death of a Busybody』のときには村人の噂を聞こうとパブの隣室で盗み聞きしてたのにね。
それにしても、殺人に対して15年の懲役というのは軽すぎる気がするのだけれど、フランスだから? それとも第二次世界大戦のあとで命の値段が軽くなってた?
Death in High Provence (The Inspector Littlejohn Mysteries)
作者:George Bellairs
出版社:Ipso Books
ISBN:Kindle版
by timeturner
| 2018-08-13 19:00
| 洋書
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