2018年 05月 23日
雪の夜は小さなホテルで謎解きを |
12歳のマイロは両親が営む小さなホテル〈グリーングラス・ハウス〉で暮らしている。ホテルは港町ナグスピークのはずれ、山の上にあり、ふだんは密輸人たちの定宿だが、クリスマスをはさむ冬休みは雪に閉ざされ、客はひとりもいないのが普通だった。ところがそんなホテルに次々と5人の客がやってきて・・・。
RPGの要素を取り入れていたり、アニメか漫画の登場人物みたいな怪盗が登場したり、密輸に使う秘密の地下鉄道があったりと子供がわくわくしそうな冒険要素にはことかきません。しかも、最後にはアレだからねえ(と気をもたせる)。
中国人の両親から生まれたのに赤ん坊のときに養子となったマイロが自らのアイデンティティに悩む姿もたびたび出てきて、こちらはかなり現実的ですが、それによって雰囲気が暗くなることはなく、むしろそうした障害を乗り越えてマイロが成長していく糧のように描かれています。あとがきによると作者自身が中国から養子を迎えるべく準備をしている状態で書いたそうなので、作者自身の気持ちを固める目的もあったのでしょうね。
映画化も決まっているそうですが、どんなふうになるのかな。あまりお子様向けではなく大人向けファンタジーになるといいな。
雪の夜は小さなホテルで謎解きを (創元推理文庫)
原題:Greenglass House
作者:ケイト・ミルフォード
訳者:山田久美子
出版社:東京創元社
ISBN:4488135048
by timeturner
| 2018-05-23 19:00
| 和書
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