猫のしっぽ |
長い間飼っている人の話を聞いていると、猫を取り巻く環境の変化も自然に見えてきます。猫が発情期には外に出ていき、やがて子猫を産むのが当たり前だった時代から避妊・去勢が当たり前の時代へ。猫のごはんは人間の余り物と決まっていた時代からペットフードの時代へ。
昔の猫飼いの話を読むと、時に怒りくるってしまうことのある私ですが、これは作者が時代に応じて柔軟に対応してきたことがわかる書き方なので安心して読んでいられました。飼いネコが産んだ子猫はきちんと後のことまで責任を持っているし、そもそも飼った猫がみんな15年以上も長生きをしたことからして、大事に飼っていたことがわかります。
自宅の猫の話だけでなく、猫を扱った本や映画、絵画の話もたくさんあって、どれも面白そうに書かれているので付箋がたくさんつきました。自分用にメモ。
『猫のたま吉物語 ぼくは大地震にあった』(香取章子著/双葉社)
『ノラの日記』(矢追義人著/西田書店)
『アビ猫物語』(渡辺幸英・祥子著)*私家版なので入手不可能
『苦海浄土』(石牟礼道子著/講談社)
「こねこ」(イワン・ポポフ監督)
猫を飼い始めたときには小学生だった息子さんが、やがて猫を描く画家になったというのも運命的です。この本にはその息子さんが描いた猫のカラー絵(1ページ大)がたくさん挿入されていて、これがいかにも実物を目の前にして描いたことがわかる愛らしさなんですよね。
猫のしっぽ
作者:高田宏
イラスト:高田雄太
出版社:新潮社
ISBN:4103295139