シロクマが家にやってきた! |
『弟は僕のヒーロー』とはまた違う切り口で障害をもつ弟とその兄を描いた話です。ジョヴァンニはダウン症だったけど、リアムはたぶん自閉症かな。大きな音や人混みでパニックを起こしやすく、習慣的な行動を好みます。
それにしても自閉症児の家族の問題をこんなふうに書くことができるなんて驚いたなあ。これまで読んだことのある自閉症児の話では、たいていがひとりっ子で、本人、親、教師にスポットが当たっていたけれど、ここでは本人とほとんど年の違わないきょうだいの気持ちに焦点があてられています。
これがもうすごくよくわかる。同じ立場だったら私だって同じように感じただろうし、同じようにふるまっただろうと思う。もうちょっとアーサーの気持ちを考えてあげなさいよ!と両親に膝詰め談判したくなったほど。でも、きっと親のほうだって余裕がないんだろうね。
シロクマが包容力のある親のようだったり、思いやり深く話をきいてくれるカウンセラーだったり、時にはリアムのような弱点も見せたりと、いろんな顔をもっているのがいいと思う。そんなシロクマとつきあうことで、アーサーは丸ごと受け入れてもらう心地よさ、相手をきづかうやさしさ、ひとりひとりの個性を尊重することなど、大事なことをたくさん学びます。
最後のシーンはナニー・マクフィーを思い出してしまいました。
シロクマが家にやってきた! (スプラッシュ・ストーリーズ)
原題:Me and Mister P
作者:マリア・ファラー
イラスト:ダニエル・リエリー
訳者:杉本詠美
出版社:あかね書房
ISBN:4251044320