2017年 11月 21日
一万両の長屋 |
五年前に一万両にものぼる大金を盗んで大坂に逃げた大盗賊・夜霧ノ治郎兵衛一党が江戸に舞い戻った。南町奉行所を挙げての大捜索が始まったが、見習い同心の八巻卯之吉は夜な夜な吉原で放蕩三昧。そんな中、貧乏長屋の大家殺しの探索を命じられた卯之吉はとんでもない敵に遭遇する・・・。《大富豪同心》シリーズ第3弾。
2作目をとばして3作目を読んだので、卯之吉も少しは同心として成長しているかと思ったら、まったくその気配がなくて安心した。(え?)
1作目に輪をかけて能天気な展開だった。肝心の卯之吉が(遊ぶ以外は)何もしないうちに周りが勝手に気をきかせて、都合のいい偶然が重なって、一件落着、めでたしめでたしという運び。
とはいえ、こんなふうに書くのってかえって難しいんじゃないかと思うのよね。卯之吉の無能がばれないように事件を解決しなくてはならないから、いろんな駒を上手に動かす必要がある。通常のミステリーのトリックとは違った頭の働かせ方が必要だろうと思う。
それにしても、これほど《かっこいい or けなげ》な《ヒーロー or ヒロイン》キャラが皆無な時代小説シリーズって珍しいのでは?
腕が立つと思えば陰間茶屋の若衆にでれでれだし、きっぷのいい親分は人を見る目がないし、切れ者の大商人は孫を甘やかし放題。多少は頭も回り腕も立つ上役同心だって賄賂を出されると何も言えない。まったくもうろくでもない奴ばかりなんだけど、なぜか憎めないし、そういう連中のおかげで、遊ぶことしか取り柄のない卯之吉が主人公でも笑いながら読める話になっているのよね。
一万両の長屋ー大富豪同心 (3) (双葉文庫)
作者:幡大介
出版社:双葉社
ISBN:457566460X
2作目をとばして3作目を読んだので、卯之吉も少しは同心として成長しているかと思ったら、まったくその気配がなくて安心した。(え?)
1作目に輪をかけて能天気な展開だった。肝心の卯之吉が(遊ぶ以外は)何もしないうちに周りが勝手に気をきかせて、都合のいい偶然が重なって、一件落着、めでたしめでたしという運び。
とはいえ、こんなふうに書くのってかえって難しいんじゃないかと思うのよね。卯之吉の無能がばれないように事件を解決しなくてはならないから、いろんな駒を上手に動かす必要がある。通常のミステリーのトリックとは違った頭の働かせ方が必要だろうと思う。
それにしても、これほど《かっこいい or けなげ》な《ヒーロー or ヒロイン》キャラが皆無な時代小説シリーズって珍しいのでは?
腕が立つと思えば陰間茶屋の若衆にでれでれだし、きっぷのいい親分は人を見る目がないし、切れ者の大商人は孫を甘やかし放題。多少は頭も回り腕も立つ上役同心だって賄賂を出されると何も言えない。まったくもうろくでもない奴ばかりなんだけど、なぜか憎めないし、そういう連中のおかげで、遊ぶことしか取り柄のない卯之吉が主人公でも笑いながら読める話になっているのよね。
一万両の長屋ー大富豪同心 (3) (双葉文庫)
作者:幡大介
出版社:双葉社
ISBN:457566460X
by timeturner
| 2017-11-21 19:00
| 和書
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