大富豪同心 |
いやあ、面白いわあ、これ。
富豪刑事という小説だかドラマだかが昔あったけど、あれの江戸版でがすな(おっと、幇間の口調がうつってしまった)。金の力にあかせて事件を解決するなんてと顔をしかめる人もいそうだけど、いっそここまで徹底してお金を使いまくってくれると笑えてくる。それに、最終的にはやっぱり知恵がいるからね。
卯之吉は《しゃばけ》シリーズの一太郎を彷彿とさせるキャラ。一太郎にはさまざまな妖したちがボディーガードがわりについていたけど、こちらの卯之吉には祖父の雇った凄腕用心棒や勝手に勘違いした侠客の親分、放蕩仲間の大名の息子、それに馴染みの幇間といった連中がなにくれとなく手を貸し、本人がぼーっとしているうちに謎をとく鍵が見えてくるというなんちゃって展開。
シリーズ一作目とあって、卯之吉の生い立ちや性格、同心になるまで、なってからのあれこれを説明しなくてはならず、謎解きメインの話にはならなかったけれど、脇を固めるキャラは多士済々(用心棒はゲイ、放蕩仲間はカブキ者、下っ引きは幇間)だし、卯之吉にもいろいろと隠し玉がありそうで、今後の活躍が楽しみだ。
大富豪同心 八巻卯之吉放蕩記 (双葉文庫)
作者:幡大介
出版社:双葉社
ISBN:457566426X