2017年 07月 23日
大きな鳥にさらわれないよう |
遠く遙かな未来、滅亡の危機に瀕した人類は、「母たち」に育てられ、「見張り人」のひそかな監視のもと、小さなグループに分かれて暮らしていた。異なるグループの人間が交雑したときに、新しい遺伝子を持つ人間──進化する可能性のある人間の誕生を願って。だが、それは、本当に人類にとって望ましい世界だったのだろうか・・・。
すごく謎めいていて面白い。イタリア旅行で読書の習慣がとぎれ、頭が読書の方向になかなか向かなかったのですが、これを読み始めたら本の世界に一気にひきこまれました。
最初のうちは、ずっと未来の、人類が滅亡しかけた後の世界なんだろうなという気がするだけで、何がどうなっているのか、どういうシステムの世界なのかわけがわかりません。それぞれ異なるグループの話をひとつずつ読んでいくうちに、少しずつ全体像が見えてきます。
人類の生き方を民俗学的に考察するところや、母性やジェンダーについて考えさせるところはアーシュラ・K・ル=グィンを思い出させますが、もっと湿っぽい。いや、湿っぽいというとマイナスイメージかな、しっとりしていると言ったほうがいいのか。日本人特有の資質なのか、受け止めるほうにそういう傾向があるのか。それが悪いと言っているわけではありません。そこが魅力なのです。
確か最初の一編は文芸雑誌で読んだ記憶があります。個々に読んでもちゃんとした短編として成立する完成度なので、この本の順番通りに読まなくてもいいのかもしれない。
大きな鳥にさらわれないよう
作者:川上弘美
出版社:講談社
ISBN:4062199653
すごく謎めいていて面白い。イタリア旅行で読書の習慣がとぎれ、頭が読書の方向になかなか向かなかったのですが、これを読み始めたら本の世界に一気にひきこまれました。
最初のうちは、ずっと未来の、人類が滅亡しかけた後の世界なんだろうなという気がするだけで、何がどうなっているのか、どういうシステムの世界なのかわけがわかりません。それぞれ異なるグループの話をひとつずつ読んでいくうちに、少しずつ全体像が見えてきます。
人類の生き方を民俗学的に考察するところや、母性やジェンダーについて考えさせるところはアーシュラ・K・ル=グィンを思い出させますが、もっと湿っぽい。いや、湿っぽいというとマイナスイメージかな、しっとりしていると言ったほうがいいのか。日本人特有の資質なのか、受け止めるほうにそういう傾向があるのか。それが悪いと言っているわけではありません。そこが魅力なのです。
確か最初の一編は文芸雑誌で読んだ記憶があります。個々に読んでもちゃんとした短編として成立する完成度なので、この本の順番通りに読まなくてもいいのかもしれない。
大きな鳥にさらわれないよう
作者:川上弘美
出版社:講談社
ISBN:4062199653
by timeturner
| 2017-07-23 19:00
| 和書
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