2017年 05月 08日
緑の霧 |
魔法のルバーブが育ち、魔法の生き物が棲み、毎週月曜の午後一時に雨が降る不思議な農園で暮らす11歳のポリーは、ある朝、湖の畔に緑の霧が発生しているのを目にして不安に駆られた。大好きなおばあちゃんが亡くなった日にも緑の霧が湖を覆ったのだ。不幸なことが起こるのだろうか・・・。
エヴァ・イボットソン+マーガレット・マーヒーみたいな雰囲気。魔法がたっぷりだけれど、ちゃんと現実にも目を向けていて、人と違っていることを理由に排斥することの馬鹿らしさや、自分の生き方を自分で選ぶことの大切さ、家族の在り方等、いろいろなことを考えさせてくれます。
これまで読んできたこの手の本と比べて新鮮だったのはエディスおばさんの存在かな。何物かに与えられた運命に甘んじることなく、自らの力で道を切り拓いていくことを選んだ女性が魔法に敢然と挑戦する話でもあるんですよね。
この本では外に出たいエディスと中に残りたいポリーが、最終的にはお互いに補完しあう形で終わるのですが、今は凄いことを「やり遂げた感」でいっぱいのポリーも、同じことをずっと繰り返していたら達成感も消えてしまう。大人になり、広い世の中のことを知り、数々の可能性を前にしたときもまだ、同じ気持ちでいられるだろうか。それが臆病さや怠惰のせいではないと言い切れるだろうか。作者はそこを読者に自身の問題として考え続けてほしいんじゃないかな。
緑の霧
原題:Drizzle
作者:キャサリン・ヴァン・クリーヴ
訳者:三辺律子
出版社:ほるぷ出版
ISBN:4593534992
エヴァ・イボットソン+マーガレット・マーヒーみたいな雰囲気。魔法がたっぷりだけれど、ちゃんと現実にも目を向けていて、人と違っていることを理由に排斥することの馬鹿らしさや、自分の生き方を自分で選ぶことの大切さ、家族の在り方等、いろいろなことを考えさせてくれます。
これまで読んできたこの手の本と比べて新鮮だったのはエディスおばさんの存在かな。何物かに与えられた運命に甘んじることなく、自らの力で道を切り拓いていくことを選んだ女性が魔法に敢然と挑戦する話でもあるんですよね。
自分だけの力でなにかをやり遂げると、お金や愛の力で手に入れたときよりも、大きな満足感と安らぎを得られる。男だろうと女だろうと、それは同じ。そのとき、あなたはまわりを見まわして、「やり遂げたわ」って言える――だれにおそれは取りあげることはできない。これは、しきたりや考え方に縛られていた過去の女性たちの姿に重なるところもあり、フェミニズム大賛成の私からすると応援したいキャラではあるのですが、そんな生き方を選びたくない女性も一方にはいるわけで、どこまでお互いに譲り合えるのかが問題なんだよなあと、それなりのハッピーエンドを迎えた最終ページを閉じながら考えました。
この本では外に出たいエディスと中に残りたいポリーが、最終的にはお互いに補完しあう形で終わるのですが、今は凄いことを「やり遂げた感」でいっぱいのポリーも、同じことをずっと繰り返していたら達成感も消えてしまう。大人になり、広い世の中のことを知り、数々の可能性を前にしたときもまだ、同じ気持ちでいられるだろうか。それが臆病さや怠惰のせいではないと言い切れるだろうか。作者はそこを読者に自身の問題として考え続けてほしいんじゃないかな。
緑の霧
原題:Drizzle
作者:キャサリン・ヴァン・クリーヴ
訳者:三辺律子
出版社:ほるぷ出版
ISBN:4593534992
by timeturner
| 2017-05-08 19:00
| 和書
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