2017年 02月 16日
山のトムさん |
トシちゃんは小学生の女の子。おかあさん、ハナおばさん、おばさんの甥っこのアキラくんと一緒に北国の山中で開墾生活を始めた。仕事はきついけれどみんなで力を合わせ、働いていたのだが、ふつうじゃない数のネズミに閉口し、オスの子ネコをもらってきた。トムと名づけられた子ネコはそのとぼけた行動で一家に笑いと癒しをもたらす・・・。
ドキュメンタリー「ノンちゃん牧場」の中でこの本の一節が読まれ、実物のトムの写真もいくつか紹介されていました。これがまあ、野育ちの猫とは思えないくらいかわいいハチワレだったので、これは読まねばと思いました。
いやあ、面白いわあ、さすがですねえ。開墾の苦労もしっかり書いてあるのだけれど、悲愴感はまったくない。そこここに織りこまれた失敗談はユーモラスだし、四人がお互いを気遣いつつも遠慮なくずけずけと物を言い合うようすがとても気持ちよくて、うらやましくなりました。
四人ともネコ嫌いだったのが、一緒に暮らすうちにどんどん大切な家族になっていくあたりでは、やっぱりネコって魔力があるよなあと感心し、ネズミをとらせるために飼うのだから甘やかさずに躾けると言いながら、ついつい甘やかしてしまう人々にニヤリとし、山道でカメの子歩きをする場面の描写力に舌を巻き、炭鉱町でトムを逃がすまいとなりふりかまわず必死になるおばさんに大笑いし、クリスマスのために力を合わせて(?)キジをつかまえたアキラくんとトムに喝采をおくりました。
ただ愉快なだけでも充分なのに、ところどころ子どもたちに知っておいてほしいことが説教くさくはなくしのばせてあるところもさすがだなと思います。
ところでこれ、小林聡美主演で映画化されているんですね。DVDにもなってる。見たいなあ。Amazonビデオに入らないかしら。
山のトムさん (福音館文庫 物語)
作者:石井桃子
イラスト:深沢紅子
出版社:福音館書店
ISBN:4834001466
ドキュメンタリー「ノンちゃん牧場」の中でこの本の一節が読まれ、実物のトムの写真もいくつか紹介されていました。これがまあ、野育ちの猫とは思えないくらいかわいいハチワレだったので、これは読まねばと思いました。
いやあ、面白いわあ、さすがですねえ。開墾の苦労もしっかり書いてあるのだけれど、悲愴感はまったくない。そこここに織りこまれた失敗談はユーモラスだし、四人がお互いを気遣いつつも遠慮なくずけずけと物を言い合うようすがとても気持ちよくて、うらやましくなりました。
四人ともネコ嫌いだったのが、一緒に暮らすうちにどんどん大切な家族になっていくあたりでは、やっぱりネコって魔力があるよなあと感心し、ネズミをとらせるために飼うのだから甘やかさずに躾けると言いながら、ついつい甘やかしてしまう人々にニヤリとし、山道でカメの子歩きをする場面の描写力に舌を巻き、炭鉱町でトムを逃がすまいとなりふりかまわず必死になるおばさんに大笑いし、クリスマスのために力を合わせて(?)キジをつかまえたアキラくんとトムに喝采をおくりました。
ただ愉快なだけでも充分なのに、ところどころ子どもたちに知っておいてほしいことが説教くさくはなくしのばせてあるところもさすがだなと思います。
とくべつりこうでなくても、またとくべつしごとが早かったり、きれいでなくとも、それはしかたがない。ただ人間は、しごとをやりぬかなくちゃいけない。セキニンというものをもたなくちゃいけないと、おばさんにしょっちゅう、いわれているのです。『家と庭と犬とねこ』を読んだときにはアキラくんてそれなりに育った青年だと思っていたのですが、まだ学校に通うような少年だったんですね。いったいどういう事情があって石井さんと一緒にこんな山奥で暮らすことになったんだろう? 最初に行ったときはまだ戦争中だったから学童疎開のつもりだったのかしらん。
ところでこれ、小林聡美主演で映画化されているんですね。DVDにもなってる。見たいなあ。Amazonビデオに入らないかしら。
山のトムさん (福音館文庫 物語)
作者:石井桃子
イラスト:深沢紅子
出版社:福音館書店
ISBN:4834001466
by timeturner
| 2017-02-16 19:00
|
Comments(0)