2017年 02月 10日
三鬼 |
江戸で人気の袋物屋、神田の三島屋では、主人の姪のおちかが一度に一人の語り手から変わり百物語を聴くことでも知られるようになってきた。今回の語り手は、村でただ一人お化けを見たという百姓の娘、夏場のかきいれどきに休業する弁当屋、山陰の小藩の元江戸家老、心の時間を十四歳で止めた老婆・・・。『泣き童子』に続く《三島屋変調百物語》シリーズ第四弾。
はあああああ、面白かった! もったいないから少しずつ読もうと思ったのに、途中でやめられなかった。宮部みゆきは天性の語り部だねえ。
三島屋のおちかが百物語の語り手から聴く話を読者は一緒に聴く形になるのだけれど、途中でおちかが物語からふと覚めて「はっ」とするところで、一緒にはっとしている自分に気づき、ああ、そんなにも深く物語の中に潜りこんでいたんだと気づく。表題作の「三鬼」なんて、雪深い洞ヶ森の中で鬼と対峙しているような気分になりました。
第一話 迷いの旅籠
第二話 食客ひだる神
第三話 三鬼
第四話 おくらさま
宮部みゆきの小説は、そもそものアイディアも絶妙なものが多いのですが、この三島屋シリーズに関してはアイディアよりも語りの巧みさが光ります。声のいい人や歌の巧い人を指して、**が読めば電話帳でも詩(歌)になるというような表現をしますが、それに近い感じ。
一話一話はそれぞれに趣が異なり、最後に残る余韻も違うのですが、それでいて全体を通しておちかや三島屋の人たちの人生の移り変わりをも描いています。第四話の「おくらさま」はその真骨頂で、最後をこんなふうに〆てくるなんてと感極まりました。しかも、これでシリーズが終わっても納得だし、さらに続いても不思議ではない終わり方。もちろん、私としてはぜひぜひ続けてほしいです。よろしくお願いします。
三鬼 三島屋変調百物語四之続
作者:宮部みゆき
出版社:日本経済新聞出版社
ISBN:4532171415
はあああああ、面白かった! もったいないから少しずつ読もうと思ったのに、途中でやめられなかった。宮部みゆきは天性の語り部だねえ。
三島屋のおちかが百物語の語り手から聴く話を読者は一緒に聴く形になるのだけれど、途中でおちかが物語からふと覚めて「はっ」とするところで、一緒にはっとしている自分に気づき、ああ、そんなにも深く物語の中に潜りこんでいたんだと気づく。表題作の「三鬼」なんて、雪深い洞ヶ森の中で鬼と対峙しているような気分になりました。
第一話 迷いの旅籠
第二話 食客ひだる神
第三話 三鬼
第四話 おくらさま
宮部みゆきの小説は、そもそものアイディアも絶妙なものが多いのですが、この三島屋シリーズに関してはアイディアよりも語りの巧みさが光ります。声のいい人や歌の巧い人を指して、**が読めば電話帳でも詩(歌)になるというような表現をしますが、それに近い感じ。
一話一話はそれぞれに趣が異なり、最後に残る余韻も違うのですが、それでいて全体を通しておちかや三島屋の人たちの人生の移り変わりをも描いています。第四話の「おくらさま」はその真骨頂で、最後をこんなふうに〆てくるなんてと感極まりました。しかも、これでシリーズが終わっても納得だし、さらに続いても不思議ではない終わり方。もちろん、私としてはぜひぜひ続けてほしいです。よろしくお願いします。
三鬼 三島屋変調百物語四之続
作者:宮部みゆき
出版社:日本経済新聞出版社
ISBN:4532171415
by timeturner
| 2017-02-10 19:00
| 和書
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