2017年 01月 10日
スティグマータ |
ヨーロッパに活動の拠点を移してから5年。白石誓はヨーロッパ各地を転々としながら走ってきた。現在はオランジュフランセに所属し、バイヨンヌで暮らしている。ある日突然、日本で一緒に走っていたスプリンターの伊庭が訪ねてきた。イタリアのチームに入ったばかりだというのに、新興チームであるラゾワルに移ったという。グラン・ツールに出るためだ。さらに、ラゾワルには数年前にドーピングが発覚して引退した過去のスター、メネンコもいると聞いて不吉な予感を覚えた・・・。『キアズマ』に続く《サクリファイス》シリーズ第5弾。
『キアズマ』はわりあい最近読んだものの、あれはスピンオフみたいな内容だから、白石の周囲を思い出すために『サクリファイス』と『エデン』は読み返すべきかなあと思ったけど、読んでいるうちに思い出してくるから必要なかったです。そのへんはちゃんと作者も考えて、ちらちらと挟んでくれてますし。
チカはほんとにいい奴だなあ。彼視点で描かれているから、彼にだって嫉妬、羨望、焦り、不安、打算などがあることはわかるけど、根っこにあるのは純粋で善良な心だから、安心して読んでいられる。ずっと走り続けろとは思わないけど、あと一作くらいグラン・ツールに出してあげて、何か納得のいく形で引退させてあげたい。なーんて、親戚のおばちゃんのように考えるのも変か。
久しぶりにミッコやニコラに会えたのもうれしかったし、ミッコが家族と幸せそうにしているのもよかった。このシリーズを続けて読んでいるうちに、チカとその仲間が自分の仲間のように感じられていたんだなあと改めて思いました。
グラン・ツールでのさまざまな駆引きや、信じられないほど険しいルートでの走りの描写など、相変わらずわくわくドキドキさせてくれる場面もたっぷりでした。
あえて不満を挙げるとするなら、すべての「悪」が一か所に集約されていたことかなあ。悪役キャラがアメコミに出てくるような雰囲気で、ちょっと不自然な気がしました。まあ、それで盛り上がるということもあるんだけどね。
スティグマータ(新潮文庫)
作者:近藤史恵
出版社:新潮社
ISBN:4103052554
『キアズマ』はわりあい最近読んだものの、あれはスピンオフみたいな内容だから、白石の周囲を思い出すために『サクリファイス』と『エデン』は読み返すべきかなあと思ったけど、読んでいるうちに思い出してくるから必要なかったです。そのへんはちゃんと作者も考えて、ちらちらと挟んでくれてますし。
チカはほんとにいい奴だなあ。彼視点で描かれているから、彼にだって嫉妬、羨望、焦り、不安、打算などがあることはわかるけど、根っこにあるのは純粋で善良な心だから、安心して読んでいられる。ずっと走り続けろとは思わないけど、あと一作くらいグラン・ツールに出してあげて、何か納得のいく形で引退させてあげたい。なーんて、親戚のおばちゃんのように考えるのも変か。
久しぶりにミッコやニコラに会えたのもうれしかったし、ミッコが家族と幸せそうにしているのもよかった。このシリーズを続けて読んでいるうちに、チカとその仲間が自分の仲間のように感じられていたんだなあと改めて思いました。
グラン・ツールでのさまざまな駆引きや、信じられないほど険しいルートでの走りの描写など、相変わらずわくわくドキドキさせてくれる場面もたっぷりでした。
あえて不満を挙げるとするなら、すべての「悪」が一か所に集約されていたことかなあ。悪役キャラがアメコミに出てくるような雰囲気で、ちょっと不自然な気がしました。まあ、それで盛り上がるということもあるんだけどね。
スティグマータ(新潮文庫)
作者:近藤史恵
出版社:新潮社
ISBN:4103052554
by timeturner
| 2017-01-10 19:00
| 和書
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