2016年 12月 19日
島暮らしの記録 |
トーベ・ヤンソンが実の母、親友トゥーリッキ、それに猫のプシプシーナと暮していた島での日々を綴ったエッセイです。ずっとひとつの島の話ではなくて、最初にトゥーリッキと島暮らしを始めたところ、それからもっと辺鄙な(あまり人が訪ねてこられないような)島に移っての暮らし、その合間に子ども時代に夏を過ごした島での思い出が少しといった感じです。
驚くのは島で暮らすために住民たちの同意が必要だということ。また、フィンランドでも役所の手続きには時間がかかるので、許可が出るのを待たずに小屋を建て始めてしまうところ。几帳面なのか大雑把なのかよくわかりません。
それに、トーベ・ヤンソンほどの大作家でも、業者にお任せではなく、自分たちも一緒に小屋をととのえていくのにも驚きました。電気も水道もないところ(もちろん水洗トイレもない)でテント生活をしながらの作業ですよ。ありえない。アウトドア生活が好きで、なおかつ体が丈夫でないと無理だと思いました。『少女ソフィア』のおばあさんであるトーベの母親も出てくるのですが、この人がまた80歳過ぎているのに、テントが水浸しになったので泳いで湾を渡ったとか書いてあって、なんだこの連中は?!と思いました。
自然に囲まれた島暮らしと聞くと、ロマンチックで素敵!と思いますし、確かに季節の移り変わりを全身で感じている描写を読むと「いいなあ」とは思うのですが、いいとこどりはできない。不便なところ、不快なことも同時にのみこんでこその島暮らしなんだなあと思いました。女三人だけの暮らしですから、力仕事でも危険な仕事でも自分たちでやらなくてはならない。海が荒れたらボートで他の島や本土に行くこともできないのですから。このあたりは『少女ソフィア』だけを読んだのではまるでわかりません。あちらはほとんどが子どもの視点から描かれていますからね。
最後のほうに、年をとって体力がなくなり、それまでなんとも思わずにしてきた仕事がきつくなって島暮らしを終わらせる決意を固めるのですが、通算80年にわたる暮らしを変えるのって、そう簡単にはできないことですよね。特に年をとると優柔不断になるものですから。この決断力も並じゃないよなあと思いました。
島暮らしの記録
原題:Anteckningar fran en o
作者:トーベ・ヤンソン
訳者:富塚眞弓
出版社:筑摩書房
ISBN:4480837051
驚くのは島で暮らすために住民たちの同意が必要だということ。また、フィンランドでも役所の手続きには時間がかかるので、許可が出るのを待たずに小屋を建て始めてしまうところ。几帳面なのか大雑把なのかよくわかりません。
それに、トーベ・ヤンソンほどの大作家でも、業者にお任せではなく、自分たちも一緒に小屋をととのえていくのにも驚きました。電気も水道もないところ(もちろん水洗トイレもない)でテント生活をしながらの作業ですよ。ありえない。アウトドア生活が好きで、なおかつ体が丈夫でないと無理だと思いました。『少女ソフィア』のおばあさんであるトーベの母親も出てくるのですが、この人がまた80歳過ぎているのに、テントが水浸しになったので泳いで湾を渡ったとか書いてあって、なんだこの連中は?!と思いました。
自然に囲まれた島暮らしと聞くと、ロマンチックで素敵!と思いますし、確かに季節の移り変わりを全身で感じている描写を読むと「いいなあ」とは思うのですが、いいとこどりはできない。不便なところ、不快なことも同時にのみこんでこその島暮らしなんだなあと思いました。女三人だけの暮らしですから、力仕事でも危険な仕事でも自分たちでやらなくてはならない。海が荒れたらボートで他の島や本土に行くこともできないのですから。このあたりは『少女ソフィア』だけを読んだのではまるでわかりません。あちらはほとんどが子どもの視点から描かれていますからね。
最後のほうに、年をとって体力がなくなり、それまでなんとも思わずにしてきた仕事がきつくなって島暮らしを終わらせる決意を固めるのですが、通算80年にわたる暮らしを変えるのって、そう簡単にはできないことですよね。特に年をとると優柔不断になるものですから。この決断力も並じゃないよなあと思いました。
島暮らしの記録
原題:Anteckningar fran en o
作者:トーベ・ヤンソン
訳者:富塚眞弓
出版社:筑摩書房
ISBN:4480837051
by timeturner
| 2016-12-19 19:00
| 和書
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