2016年 10月 30日
かめくん |
模造亀(レプリカメ)のかめくんはクラゲ荘に住み、毎日、倉庫でクレーンを動かす仕事にまじめに通っている。休みの日には図書館に行き、本を読んだりビデオを見たりする。昔のことは憶えていない。とくに木星での戦争に関することは・・・。
『カメリ』の男子ヴァージョン。というか、こっちのほうが先に書かれたっぽい。こちらではまだ人間が存在していて、木星で誰とだかわからない戦争が行われている。模造亀はそもそもその戦争のために作られたらしいし、かめくんも参加していたようなのだけど、木星時代の記憶はなくなっている。
『カメリ』もそうだったけど、はっきりしたことがわからない曖昧模糊とした世界で、怯えず恐れず淡々と生きている模造亀たちの生き方(生き物じゃないから変かしら)を見ていると、なんだかぬるめのお風呂につかってうとうとしているような気分になってくる。
かめくん本人(亀)は平凡・実直なのに、なぜか不思議と不可解な出来事がふりかかり、そのつどあれこれ考えるのだけれど、その考えが正しいとも間違っているともわからないまま日々が過ぎていく。
カメリもかめくんも口がきけない分、自分の中であれこれじっくり考える時間があって、それって亀の姿としっくりくるよなあと思う。亀が甲羅に首をひっこめているみたいな。あれは怖くてやってるわけじゃなくて、ひとりで考えるためにやっているのではないかなんて気がしてくる。
木星で動作できるように造られているわけなので、おそらくかなり高度な人工知能が備えられているのだと思うし、ところどころで、それを匂わせるようなSF小説っぽい用語を含んだ人間たちの会話も挿入されるけれど、それはあくまでも冗談の一部みたいな扱いで、結局はよくわからないまま終わる。
この小説の面白さは伝えにくい。『カメリ』を先に読んでしまったので設定にも驚かないし、刺激的な事件が起こるわけでもない。なのに楽しくて読み終えたくないんだよなあ。
かめくんが長い冬眠から覚めてみると『カメリ』の世界になっているんじゃないかなと妄想した。いつか、かめくんとカメリが出会えたらいいな。
かめくん (河出文庫)
作者:北野勇作
出版社:河出書房新社
ISBN:4309411673
『カメリ』の男子ヴァージョン。というか、こっちのほうが先に書かれたっぽい。こちらではまだ人間が存在していて、木星で誰とだかわからない戦争が行われている。模造亀はそもそもその戦争のために作られたらしいし、かめくんも参加していたようなのだけど、木星時代の記憶はなくなっている。
『カメリ』もそうだったけど、はっきりしたことがわからない曖昧模糊とした世界で、怯えず恐れず淡々と生きている模造亀たちの生き方(生き物じゃないから変かしら)を見ていると、なんだかぬるめのお風呂につかってうとうとしているような気分になってくる。
かめくん本人(亀)は平凡・実直なのに、なぜか不思議と不可解な出来事がふりかかり、そのつどあれこれ考えるのだけれど、その考えが正しいとも間違っているともわからないまま日々が過ぎていく。
カメリもかめくんも口がきけない分、自分の中であれこれじっくり考える時間があって、それって亀の姿としっくりくるよなあと思う。亀が甲羅に首をひっこめているみたいな。あれは怖くてやってるわけじゃなくて、ひとりで考えるためにやっているのではないかなんて気がしてくる。
木星で動作できるように造られているわけなので、おそらくかなり高度な人工知能が備えられているのだと思うし、ところどころで、それを匂わせるようなSF小説っぽい用語を含んだ人間たちの会話も挿入されるけれど、それはあくまでも冗談の一部みたいな扱いで、結局はよくわからないまま終わる。
この小説の面白さは伝えにくい。『カメリ』を先に読んでしまったので設定にも驚かないし、刺激的な事件が起こるわけでもない。なのに楽しくて読み終えたくないんだよなあ。
かめくんが長い冬眠から覚めてみると『カメリ』の世界になっているんじゃないかなと妄想した。いつか、かめくんとカメリが出会えたらいいな。
かめくん (河出文庫)
作者:北野勇作
出版社:河出書房新社
ISBN:4309411673
by timeturner
| 2016-10-30 19:00
| 和書
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