2016年 09月 01日
猫弾きのオルオラネ |
オルオラネ爺さんは背が高く、髪も髭も真っ白で、痩せたサンタクロースのような老人。夏でも長い黒いコートを着ていて、その内ポケットにはいつでも3匹の猫イルイネド、マレット、ショフレンを入れている。猫たちは酒が好きで、酒を飲むと声がよくなる。そこをオルオラネ爺さんが弾くと、えもいわれぬ音楽が生まれ、聴く人を夢の世界にいざなう・・・。
いやあ、びっくり。夢枕獏って猟奇的で耽美系の幻想小説を書く人だと思いこんで敬遠してました。まさか、こんなにほのぼのと美しい賢治風ファンタジーだとは思いもしなかった。(あ、賢治風とはいっても性描写や暴力も少し出てきますので子供に読ませてはいけません)
しかも、この猫々しさときたら。猫に酒の味を覚えさせるところはいささか虐待めいていて「むむむ」と思ったのですが、とにかく話が面白いのと幻想的な描写が実に巧く書けているのとで許せる気になります。
ねこひきのオルオラネ
そして夢雪蝶は光のなか
天竺風鈴草
こころほし てんとう虫
年末ほろ酔い探偵団(1)
年末ほろ酔い探偵団(2) 雪夜草の話
ばく
オルオラネ爺さんに偶然出会って猫たちの演奏を聴くことになるのは、失業したチェロ奏者、失恋した無職青年、不幸続きの売れないイラストレーターと、世間では負け犬と呼ばれるような人ばかり。彼らの不幸の〈気〉が自然に爺さんを呼びよせるのでしょうか。人間の内部に潜む暗い欲望をひきずりだすような場面も時にあります。
そうか。この本には〈気〉とか〈もののけ〉と言った言葉がよく出てくるのですが、夢枕獏って『陰陽師』で人気が出たんでしたね。最近、友人から借りて『蟲師』という漫画を読んだのですが、あの世界にも近いかもしれない。
でも、この作品の魅力はなんといっても猫。青緑色で顔と手足、尻尾の先が真っ黒なイルイネド、もこもこの毛玉のような白猫マレット、白黒で青紫色の瞳のシャム猫っぽいショフレン。この子たちが仰向けに横たわり、爺さんにお腹をこすられてミャアミャア歌うところを想像しただけで悶絶してしまいます。
ああ、あたしも猫たちの演奏聴きたいなあ!
猫弾きのオルオラネ (ハヤカワ文庫JA)
作者:夢枕 獏
出版社:早川書房
ISBN:415030548X
いやあ、びっくり。夢枕獏って猟奇的で耽美系の幻想小説を書く人だと思いこんで敬遠してました。まさか、こんなにほのぼのと美しい賢治風ファンタジーだとは思いもしなかった。(あ、賢治風とはいっても性描写や暴力も少し出てきますので子供に読ませてはいけません)
しかも、この猫々しさときたら。猫に酒の味を覚えさせるところはいささか虐待めいていて「むむむ」と思ったのですが、とにかく話が面白いのと幻想的な描写が実に巧く書けているのとで許せる気になります。
ねこひきのオルオラネ
そして夢雪蝶は光のなか
天竺風鈴草
こころほし てんとう虫
年末ほろ酔い探偵団(1)
年末ほろ酔い探偵団(2) 雪夜草の話
ばく
オルオラネ爺さんに偶然出会って猫たちの演奏を聴くことになるのは、失業したチェロ奏者、失恋した無職青年、不幸続きの売れないイラストレーターと、世間では負け犬と呼ばれるような人ばかり。彼らの不幸の〈気〉が自然に爺さんを呼びよせるのでしょうか。人間の内部に潜む暗い欲望をひきずりだすような場面も時にあります。
そうか。この本には〈気〉とか〈もののけ〉と言った言葉がよく出てくるのですが、夢枕獏って『陰陽師』で人気が出たんでしたね。最近、友人から借りて『蟲師』という漫画を読んだのですが、あの世界にも近いかもしれない。
でも、この作品の魅力はなんといっても猫。青緑色で顔と手足、尻尾の先が真っ黒なイルイネド、もこもこの毛玉のような白猫マレット、白黒で青紫色の瞳のシャム猫っぽいショフレン。この子たちが仰向けに横たわり、爺さんにお腹をこすられてミャアミャア歌うところを想像しただけで悶絶してしまいます。
ああ、あたしも猫たちの演奏聴きたいなあ!
猫弾きのオルオラネ (ハヤカワ文庫JA)
作者:夢枕 獏
出版社:早川書房
ISBN:415030548X
by timeturner
| 2016-09-01 19:05
| 和書
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