2016年 03月 01日
翻訳百景 |
編集者との共同作業、タイトルの決め方など実際に翻訳の仕事をするうえでのあれこれ、翻訳家に至るまでに著者自身が辿った道筋、手がけた訳書にまつわるエピソード、読書会や感想文コンクールといった翻訳書のファンを増やすための活動など、広い範囲にわたって「翻訳」について語っています。最後には故・東江一紀さんについての項も。
これまで越前さんがネット上で発表した文章や、あるいは講演会や翻訳講座で聞いたことなどもありますが、こうしてひとつにまとまり、紙に印刷された文字として読むと、しみこみ方が違いますね。折に触れて何度も読み返し、心に刻みたい内容です。
それにしても越前さんて、やるとなったらとことんやる人だなあ。留学予備校で教えていた間に自己研鑽のために一日5、6時間、過去問の勉強をしたという話にのけぞりました。働きながら一日5、6時間って常人にできる範囲を超えてます。でも、半年、それを続けたらものすごく力がつくことは確かだと思う。実際、この半年間で英単語二千語をものにしたと書いてありました。どひゃあ。
もうひとつ感じたことは、教えることが本当に好きなんだなということ。学生時代から自分で塾を経営していた話といい、留学予備校時代の話といい、翻訳家になってからも翻訳学校やカルチャーセンターで精力的に教えていることといい、教えることが嫌いだったらできないもの。そして、人に教えるということは、自分にもそれだけ還ってくるんですよね。
越前さんがアルバイトで教えていた中学受験専門の学習塾のモットー「中学受験の結果で最もよいのは“努力して落ちること”、二番目は“努力して受かること”、三番目は“努力しないで落ちること”、最も悪いのは“努力しないで受かること”」が紹介されていました。
これ、ズキンと刺さりました。私、中学受験では“努力しないで受か”ってしまいました。そのために世間を甘く見るようになり、大学受験では第一、第二志望に“努力しないで落ち”、第三志望に“努力しないで受か”り、今に至ります。そうか、中学受験のときに“努力して落ちて”いたら、今頃はなにかしらの実績を残していたかもしれないんだなあ。せめて大学受験のときに“努力して受か”っていたら、英単語の数ももっともっと身についていたはずで、人に言うのも恥ずかしい単語をいちいち辞書でひかなくてもよかったのにねえ。
なるほどなあと思ったのはこれ。
【誤植メモ】 P.108 8行目 便利になった半面⇒便利になった反面
翻訳百景 (角川新書)
作者:越前敏弥
出版社:KADOKAWA/角川書店
ISBN:4041018633
これまで越前さんがネット上で発表した文章や、あるいは講演会や翻訳講座で聞いたことなどもありますが、こうしてひとつにまとまり、紙に印刷された文字として読むと、しみこみ方が違いますね。折に触れて何度も読み返し、心に刻みたい内容です。
それにしても越前さんて、やるとなったらとことんやる人だなあ。留学予備校で教えていた間に自己研鑽のために一日5、6時間、過去問の勉強をしたという話にのけぞりました。働きながら一日5、6時間って常人にできる範囲を超えてます。でも、半年、それを続けたらものすごく力がつくことは確かだと思う。実際、この半年間で英単語二千語をものにしたと書いてありました。どひゃあ。
もうひとつ感じたことは、教えることが本当に好きなんだなということ。学生時代から自分で塾を経営していた話といい、留学予備校時代の話といい、翻訳家になってからも翻訳学校やカルチャーセンターで精力的に教えていることといい、教えることが嫌いだったらできないもの。そして、人に教えるということは、自分にもそれだけ還ってくるんですよね。
越前さんがアルバイトで教えていた中学受験専門の学習塾のモットー「中学受験の結果で最もよいのは“努力して落ちること”、二番目は“努力して受かること”、三番目は“努力しないで落ちること”、最も悪いのは“努力しないで受かること”」が紹介されていました。
これ、ズキンと刺さりました。私、中学受験では“努力しないで受か”ってしまいました。そのために世間を甘く見るようになり、大学受験では第一、第二志望に“努力しないで落ち”、第三志望に“努力しないで受か”り、今に至ります。そうか、中学受験のときに“努力して落ちて”いたら、今頃はなにかしらの実績を残していたかもしれないんだなあ。せめて大学受験のときに“努力して受か”っていたら、英単語の数ももっともっと身についていたはずで、人に言うのも恥ずかしい単語をいちいち辞書でひかなくてもよかったのにねえ。
なるほどなあと思ったのはこれ。
『ロスト・シンボル』でもブラックベリーやiPhoneが頻繁に登場し、ツイッターについての言及もあるため、わたしも話を理解するために訳出中にiPhoneを購入し、ツイッターもはじめた。この時期にはGoogle Earthやストリートビューも調べ物でフル活用できるようになり、便利になった半面、だれもが簡単に調べられるものの裏づけを怠ることはできないため、調査の件数が以前よりはるかに多くなり、結果としてあまり楽になっていないと思う。手間や時間という意味では確かにそうですね。ただ、調べればわかるのですっきりするし、昔の翻訳書の訳者あとがきにあるような「いくら調べてもどうしてもわからなかった」などというお詫びをしなくてもすむから、精神的には楽かもしれない。まあ、調べ物を面倒だと思う人にとってはまた違ってくるでしょうが。
【誤植メモ】 P.108 8行目 便利になった半面⇒便利になった反面
翻訳百景 (角川新書)
作者:越前敏弥
出版社:KADOKAWA/角川書店
ISBN:4041018633
by timeturner
| 2016-03-01 20:36
| 和書
|
Comments(2)
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by
八朔
at 2016-03-02 23:16
x
越前先生の文章、まとまって本になっていたのですね。私も、手元に置いてじっくり読んでみたいです。
留学予備校の先生でありながら、半年で英単語二千語って、すごいですね。そういう人でも覚える単語が二千語もあるし、一日5、6時間勉強しているんですね。
time turner さんがひいている単語が恥ずかしかったら、私はどうなるやら(^^;)
日々の生活や翻訳の課題に追われ、英語の勉強や本を読むことがおろそかになってしまうので、最初にその時間を一時間でも確保することが大切なのかな、と思いました。
留学予備校の先生でありながら、半年で英単語二千語って、すごいですね。そういう人でも覚える単語が二千語もあるし、一日5、6時間勉強しているんですね。
time turner さんがひいている単語が恥ずかしかったら、私はどうなるやら(^^;)
日々の生活や翻訳の課題に追われ、英語の勉強や本を読むことがおろそかになってしまうので、最初にその時間を一時間でも確保することが大切なのかな、と思いました。
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timeturner at 2016-03-03 21:24
八朔さん、お久しぶりです。
この本、読みやすいし、少しずつ拾い読みもできるので、忙しい方にもお勧めです。
おっしゃる通り、自分の身の丈にあった分量をこつこつ続けることが大切なんでしょうね。半年で二千語は無理でも二十語くらいは。って理想が低すぎますか(^^;)。
この本、読みやすいし、少しずつ拾い読みもできるので、忙しい方にもお勧めです。
おっしゃる通り、自分の身の丈にあった分量をこつこつ続けることが大切なんでしょうね。半年で二千語は無理でも二十語くらいは。って理想が低すぎますか(^^;)。