2016年 02月 21日
木曜日だった男 一つの悪夢 |
19世紀初頭のロンドン。文化的ボヘミアンたちが住むサフラン・パークで一目おかれている無政府主義者の詩人グレゴリーの前に、彼とは完全に意見を異にする詩人サイムが現れた。サイムに馬鹿にされたと感じたグレゴリーは、自分の気持ちが真剣であることを示すため、サイムを無政府主義者の秘密の会合へと誘った・・・。
いやあ、びっくりしました。まさか、こんな話だとは夢にも思いませんでした。なにしろあのブラウン神父もののミステリーで知られたチェスタトンですからね。
確かにミステリー仕立ての部分もあります。というか、スパイ小説かな。でも、謎や手がかりを論理的に組み立てて、読者に「この謎がとけるかね?」と挑戦するようなミステリーでは全くなくて、隠されていた秘密が暴かれたかと思うと、話はそれまでとはまったく違う展開をし、さらにもっと突拍子もない方向へと向かい、最後にはまさかそんなと叫びたくなるようなファンタジー的な結末へとなだれこみます。
哲学問答のような会話も多く、どちらかというと作者自身が自らの思考の流れに沿って、あれこれと思い悩み、結論に達するまでの過程をユーモラスに、かつスリリングに書こうとしたら、スラップスティック・コメディ風のSFファンタジーになったってところでしょうか。理想を求めるカトリック信者の知的妄想、あるいは、知的探求に燃える哲学者の精神錯乱といった雰囲気でもあります。
これ、たとえば今この時代に無名の新人がアマゾンの電子書籍サービスを使って自費出版したとしても誰にも相手にされないんじゃないかという気がするんですが、チェスタトンがあの時代に書いたと思うと、妙に面白くてどんどん読まされちゃうんですよね。なんなんだろう?
木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)
原題:The Man Who Was Thursday: A Nightmare
作者:ギルバート・キース・チェスタトン
訳者:南條竹則
出版社:光文社
ISBN:Kindle版
ネットで読者レビューを読むと訳が読みやすくなったと書いてあるので、旧訳に比較すると読みやすくなっているんでしょうね。でも、私はどうも南條さんの訳とは相性が悪くて、すらすらとは読めなかったです。頭の悪い人間にももう少しすんなり読めるようにしてほしいなあ。「すべてが大地にあまりにも近づいて、ただ狂暴る秘密だけを表わしていた。火天なる最高天そのものが秘密であるかのように見えた。それは土地への愛着の本質である素晴らしい小ささを表わしていた。」なんて、いかにも怪しげな雰囲気はあるものの、何を言っているのか私にはさっぱりでした。
いやあ、びっくりしました。まさか、こんな話だとは夢にも思いませんでした。なにしろあのブラウン神父もののミステリーで知られたチェスタトンですからね。
確かにミステリー仕立ての部分もあります。というか、スパイ小説かな。でも、謎や手がかりを論理的に組み立てて、読者に「この謎がとけるかね?」と挑戦するようなミステリーでは全くなくて、隠されていた秘密が暴かれたかと思うと、話はそれまでとはまったく違う展開をし、さらにもっと突拍子もない方向へと向かい、最後にはまさかそんなと叫びたくなるようなファンタジー的な結末へとなだれこみます。
哲学問答のような会話も多く、どちらかというと作者自身が自らの思考の流れに沿って、あれこれと思い悩み、結論に達するまでの過程をユーモラスに、かつスリリングに書こうとしたら、スラップスティック・コメディ風のSFファンタジーになったってところでしょうか。理想を求めるカトリック信者の知的妄想、あるいは、知的探求に燃える哲学者の精神錯乱といった雰囲気でもあります。
これ、たとえば今この時代に無名の新人がアマゾンの電子書籍サービスを使って自費出版したとしても誰にも相手にされないんじゃないかという気がするんですが、チェスタトンがあの時代に書いたと思うと、妙に面白くてどんどん読まされちゃうんですよね。なんなんだろう?
木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)
原題:The Man Who Was Thursday: A Nightmare
作者:ギルバート・キース・チェスタトン
訳者:南條竹則
出版社:光文社
ISBN:Kindle版
ネットで読者レビューを読むと訳が読みやすくなったと書いてあるので、旧訳に比較すると読みやすくなっているんでしょうね。でも、私はどうも南條さんの訳とは相性が悪くて、すらすらとは読めなかったです。頭の悪い人間にももう少しすんなり読めるようにしてほしいなあ。「すべてが大地にあまりにも近づいて、ただ狂暴る秘密だけを表わしていた。火天なる最高天そのものが秘密であるかのように見えた。それは土地への愛着の本質である素晴らしい小ささを表わしていた。」なんて、いかにも怪しげな雰囲気はあるものの、何を言っているのか私にはさっぱりでした。
by timeturner
| 2016-02-21 17:24
| 和書
|
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