2016年 02月 02日
この地球【ほし】にすんでいる僕の仲間たちへ/自閉症の僕が跳びはねる理由 |
『この地球【ほし】にすんでいる僕の仲間たちへ』は小学校6年から普通小学校から養護学校に転向し、1、2年たったときに直樹くんが自分の心の中を文字にしたものに母親の美紀さんが直樹くん誕生からの子育てについて書いたものが収録されています。
まだ自分の考えを文章にまとめることに慣れていないので、少しぎこちないところはありますが、それだけにつらかったりいらいらしたり混乱したりする気持ちがダイレクトに伝わってきます。
美紀さんが書いている部分はもう、その苦労と努力にためいきが出ます。ごく普通の子供を育てるのだって大変なのに、コミュニケーションがとれない子供が相手ではつらさが何倍にもなりそうです。まあ、思春期になれば普通の子供でもコミュニケーションがとれなくなることが多いわけですが、まだ幼くて愛らしい子供のころからそうでは、泣きたくなりますよね。それでも、本当によくがんばられたなあと思います。いちばんの味方であるはずのお母さんに見放されていたら、直樹くんの才能も見いだされず、伸ばされることもなかったわけですから。
『自閉症の僕が跳びはねる理由』は2007年刊で、中学生になった直樹くんが書いたもの。内容的には前作とそれほど変わりませんが、2年間の間に文章を組み立てる力はずっと向上していて、わかりやすく読みやすくなっているのが一目瞭然です。
初めのうちは自閉症という障害を抱えている子の声として読んでいたのですが、だんだんに「これって普通の子供にもあてはまることなんじゃないかなあ」と思えてきました。直樹くんのようにコミュニケーションに問題を抱える子でなくても、子供のころには大人のように言葉を操れませんし、大人と対等に話ができるはずもなく、結果的には不満や苛立ちがあってもわかってもらえないと感じてしまう子が多いと思います。自分の子供とうまくコミュニケーションがとれないと感じている大人たちはこの本を読むと目が開かれるかもしれません。
この地球(ほし)にすんでいる僕の仲間たちへ―12歳の僕が知っている自閉の世界
作者:東田直樹、東田美紀
出版社:エスコアール
ISBN:4900851329
自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心
作者:東田直樹
出版社:エスコアール
ISBN:4900851388
まだ自分の考えを文章にまとめることに慣れていないので、少しぎこちないところはありますが、それだけにつらかったりいらいらしたり混乱したりする気持ちがダイレクトに伝わってきます。
美紀さんが書いている部分はもう、その苦労と努力にためいきが出ます。ごく普通の子供を育てるのだって大変なのに、コミュニケーションがとれない子供が相手ではつらさが何倍にもなりそうです。まあ、思春期になれば普通の子供でもコミュニケーションがとれなくなることが多いわけですが、まだ幼くて愛らしい子供のころからそうでは、泣きたくなりますよね。それでも、本当によくがんばられたなあと思います。いちばんの味方であるはずのお母さんに見放されていたら、直樹くんの才能も見いだされず、伸ばされることもなかったわけですから。
『自閉症の僕が跳びはねる理由』は2007年刊で、中学生になった直樹くんが書いたもの。内容的には前作とそれほど変わりませんが、2年間の間に文章を組み立てる力はずっと向上していて、わかりやすく読みやすくなっているのが一目瞭然です。
初めのうちは自閉症という障害を抱えている子の声として読んでいたのですが、だんだんに「これって普通の子供にもあてはまることなんじゃないかなあ」と思えてきました。直樹くんのようにコミュニケーションに問題を抱える子でなくても、子供のころには大人のように言葉を操れませんし、大人と対等に話ができるはずもなく、結果的には不満や苛立ちがあってもわかってもらえないと感じてしまう子が多いと思います。自分の子供とうまくコミュニケーションがとれないと感じている大人たちはこの本を読むと目が開かれるかもしれません。
ずっと、僕たちを見ていて欲しいのです。見ていてというのは、教えることをあきらめないで下さいということです。どうして見ていてという表現を使ったかというと、見ていてくれるだけでも、僕たちは強くなれるからです。直樹くんが書いていることを読んでいて思いついたのですが、印象派の画家の何人かは自閉症の傾向があったんじゃないのかな。世界のとらえ方がとても近いように思えるのです。
僕たちは見た目では、言っていることを理解しているのかいないのかも分からないし、何度同じことを教えてもできません。
そんな僕たちですが、頑張りたい気持ちはみんなと同じなのです。だめだとあきらめられると、とても悲しいです。
そばにいてくれる人は、どうか僕たちのことで悩まないで下さい。自分の存在そのものを否定されているようで、生きる気力が無くなってしまうからです。
僕たちが一番辛いのは、自分のせいで悲しんでいる人がいることです。
自分が辛いのは我慢できます。しかし、自分がいることで周りを不幸にしていることには、僕たちは耐えられないのです。
みんなは物を見るとい、まず全体を見ているように思います。しかし、僕たちは、最初に部分が目にとびこんできます。その後、徐々に全体が分かるのです。直樹くんが書いたものを続けて読んで「こういう人たちばかりだったら、世界は平和になるだろうなあ」と何度も思ったのですが、そのことを直樹くん自身がこんなふうに書いていました。
どの部分が最初に目に入るのかは、その時の状況で違います。色が鮮やかだったり、形が印象的だったりすると、それに目がいってその部分一点に心が奪われて、何も考えられなくなるのです。
僕たちの見ている光は、月の光のようにやわらかく優しいものです。そのままだと、直線的に光が目の中に飛び込んで来るので、あまりにも光の粒が見え過ぎて、目が痛くなるのです。
でも、光を見ないわけにはいきません。光は、僕たちの涙を消してくれるからです。
光を見ていると、僕たちはとても幸せなのです。たぶん、降り注ぐ光の分子が大好きなのでしょう。
分子が僕たちを慰めてくれます。それは、理屈では説明できません。
僕は自閉症とはきっと、文明の支配を受けずに、自然のまま生まれてきた人たちなのだと思うのです。巻末には童話のような短編小説が収録されています。
これは僕の勝手な作り話ですが、人類は多くの命を殺し、地球を自分勝手に破壊してきました。人類自身がそのことに危機を感じ、自閉症の人たちをつくり出したのではないでしょうか。
この地球(ほし)にすんでいる僕の仲間たちへ―12歳の僕が知っている自閉の世界
作者:東田直樹、東田美紀
出版社:エスコアール
ISBN:4900851329
自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心
作者:東田直樹
出版社:エスコアール
ISBN:4900851388
by timeturner
| 2016-02-02 23:10
| 和書
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