2015年 11月 07日
8つの物語 |
祖父母の家で過ごすことの気づまりさ、友達や妹にできることが自分にはできない劣等感、両親の離婚を頭ではわかっているのに受け止めきれない心、子どもの頃に感じたことのあるちょっとした心の揺らめきを描く短編集。
『真夜中のパーティー』や『幽霊を見た10の話』に近い傾向の話が集められています。子どもが読めばまさにリアルタイムの感情を抱くだろうし、大人が読めばだれにでも過去に同様の記憶があるはず。
ここまで詳しく覚えていられるのも驚きですが、よりにもよってそうした記憶の中からこういう部分をすくいとって、こういうふうに書けるということが凄いです。まあ、それがすぐれた作家の資質というものなのでしょうが。
ロープ
ナツメグ
夏の朝
まつぼっくり
スポット
チェンバレン夫人の里帰り
巣守りのたまご
目をつぶって
「ナツメグ」と「チェンバレン夫人の里帰り」には狂気や幽霊も描かれていてちょっと怖いのですが、ただ怖がらせるだけでなくて、狂気の原因や幽霊に対する思いやりのようなものまでもがちゃんと書かれている。しかも、あからさまではなく、水がしみこむように子どもの心に吸収できるような形で書かれているんです。子ども相手の話だからといって書きすぎてはいない。こういうふうに子どもの感受性を信じられる作家は、読者の側からも信じられます。
8つの物語―思い出の子どもたち
原題:The Rope and Other Stories
作者:フィリッパ・ピアス
訳者:片岡しのぶ
出版社:あすなろ書房
ISBN:4751518186
『真夜中のパーティー』や『幽霊を見た10の話』に近い傾向の話が集められています。子どもが読めばまさにリアルタイムの感情を抱くだろうし、大人が読めばだれにでも過去に同様の記憶があるはず。
ここまで詳しく覚えていられるのも驚きですが、よりにもよってそうした記憶の中からこういう部分をすくいとって、こういうふうに書けるということが凄いです。まあ、それがすぐれた作家の資質というものなのでしょうが。
ロープ
ナツメグ
夏の朝
まつぼっくり
スポット
チェンバレン夫人の里帰り
巣守りのたまご
目をつぶって
「ナツメグ」と「チェンバレン夫人の里帰り」には狂気や幽霊も描かれていてちょっと怖いのですが、ただ怖がらせるだけでなくて、狂気の原因や幽霊に対する思いやりのようなものまでもがちゃんと書かれている。しかも、あからさまではなく、水がしみこむように子どもの心に吸収できるような形で書かれているんです。子ども相手の話だからといって書きすぎてはいない。こういうふうに子どもの感受性を信じられる作家は、読者の側からも信じられます。
8つの物語―思い出の子どもたち
原題:The Rope and Other Stories
作者:フィリッパ・ピアス
訳者:片岡しのぶ
出版社:あすなろ書房
ISBN:4751518186
by timeturner
| 2015-11-07 21:53
| 和書
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