2015年 09月 17日
ぼんくら(上・下) |
江戸・深川の鉄瓶長屋は、煮売屋を商うしっかり者のお徳を筆頭に手のかからない店子たちが集まり、それをベテランの差配人・久兵衛がうまくとりまとめてきた。だが、ある晩、八百屋の息子が殺され、その妹が血まみれになって久兵衛のところに駆けこんできたときから、なにやら不穏な動きが始まる。面倒なことは嫌いだと口に出してはばからなかった八丁堀同心・井筒平四郎も、湧き上がる疑念をおさえきれなくなっていく・・・。
最初のうちは半七捕物帳シリーズのような、短編ミステリーの形をとった江戸人情噺かと思って読んでいて、さすが宮部みゆき、巧いもんだなあと感心しながら読んでいたのですが、それが少しずつ少しずつ登場人物とその背景とが重なりあってきて、上巻の後半、「長い影」のあたりから本格長編時代推理小説のような様相を呈してきます。
その進み具合が実に周到に計算されていて、細い麻縄を一本ずつ見せていたものが、ふと気づいたらそれらが縒り合わさって縄になってたって印象なんですよね。まいりました。
平四郎はもちろん、お徳や佐吉、元女郎のおくめ、湊屋の娘みすず、平四郎の甥の美少年・弓乃助、そして私のお気に入り、人間テープレコーダーの《おでこ》など、登場人物の誰もがそれぞれに個性的で、本物の人間らしいリアリティがあって魅力的です。主筋となる謎とその謎解きも
【上巻】
殺し屋
博打うち
通い番頭
ひさぐ女
拝む男
長い影(一~六まで)
【下巻】
長い影(七~十三)
幽霊
ぼんくら(上) (講談社文庫)
ぼんくら(下) (講談社文庫)
作者:宮部みゆき
出版社:講談社
ISBN:4062747510、4062747529
最初のうちは半七捕物帳シリーズのような、短編ミステリーの形をとった江戸人情噺かと思って読んでいて、さすが宮部みゆき、巧いもんだなあと感心しながら読んでいたのですが、それが少しずつ少しずつ登場人物とその背景とが重なりあってきて、上巻の後半、「長い影」のあたりから本格長編時代推理小説のような様相を呈してきます。
その進み具合が実に周到に計算されていて、細い麻縄を一本ずつ見せていたものが、ふと気づいたらそれらが縒り合わさって縄になってたって印象なんですよね。まいりました。
平四郎はもちろん、お徳や佐吉、元女郎のおくめ、湊屋の娘みすず、平四郎の甥の美少年・弓乃助、そして私のお気に入り、人間テープレコーダーの《おでこ》など、登場人物の誰もがそれぞれに個性的で、本物の人間らしいリアリティがあって魅力的です。主筋となる謎とその謎解きも
【上巻】
殺し屋
博打うち
通い番頭
ひさぐ女
拝む男
長い影(一~六まで)
【下巻】
長い影(七~十三)
幽霊
ぼんくら(上) (講談社文庫)
ぼんくら(下) (講談社文庫)
作者:宮部みゆき
出版社:講談社
ISBN:4062747510、4062747529
by timeturner
| 2015-09-17 19:17
| 和書
|
Comments(0)