2015年 02月 04日
自負と偏見 |
この小説を読むのは5回を超えていると思うし、BBCドラマは繰り返し見ているし、この小説を題材にしたパスティーシュも山ほど読んで、ストーリーも文章も覚えているにもかかわらず、またもや夢中になって一気読みしてしまいました。なんなんだ、この魅力は。世界じゅうにオースティンファン、特にこの本のファンがいるのも当然ですね。
中野好夫訳はおそらく高校生の頃に読んだのと同じだと思うのですが、新訳で置き換えねばならないほど古臭い訳だとは思いませんでした。むしろ、これまで読んだどの翻訳よりも、ウィットといい品格といい原文のニュアンスを漏れなくすくいとっていて、実に安心して読んでいられます。
もっとも、そんなふうに楽しめたのは、原文や各種資料本を読み、中野康司さんの講義を聴くなどしてこの小説を楽しむ基本が自分の中にできていたからかもしれない。だって、高校生の頃にはそれほど面白いとは思わなかったんだもの。ダーシーにハマった友人から勧められて読んだのだと思うのですが、面白いとも素敵だとも思わなかった。ちゃんと中身を読みとれていなかったんでしょうね。当時はもっとわかりやすいシドニー・カートンが私のヒーローでしたから。
そう考えれば今の若い人はこの訳のままではオースティンの世界の素晴らしさに気づけないまま終わってしまうことは理解できるし、新訳が必要なこともわかる。でも、完全に葬りさってしまうのはもったいないよなあ。新潮社は、初心者用と再読者用、二種類もっておくことはできなかったのだろうか。
筑摩書房の中野康司訳は、中野好夫訳を下敷きにしているので(と中野康司さんご自身がおっしゃっていました)、あれを中野好夫訳の後継者と考えればいいのかな。惜しむらくは品格がやや足りないけど。
自負と偏見 (新潮文庫)
原題:Pride and Prejudice
作者:ジェイン・オースティン
訳者:中野好夫
出版社:新潮社
ISBN:4102131035
中野好夫訳はおそらく高校生の頃に読んだのと同じだと思うのですが、新訳で置き換えねばならないほど古臭い訳だとは思いませんでした。むしろ、これまで読んだどの翻訳よりも、ウィットといい品格といい原文のニュアンスを漏れなくすくいとっていて、実に安心して読んでいられます。
もっとも、そんなふうに楽しめたのは、原文や各種資料本を読み、中野康司さんの講義を聴くなどしてこの小説を楽しむ基本が自分の中にできていたからかもしれない。だって、高校生の頃にはそれほど面白いとは思わなかったんだもの。ダーシーにハマった友人から勧められて読んだのだと思うのですが、面白いとも素敵だとも思わなかった。ちゃんと中身を読みとれていなかったんでしょうね。当時はもっとわかりやすいシドニー・カートンが私のヒーローでしたから。
そう考えれば今の若い人はこの訳のままではオースティンの世界の素晴らしさに気づけないまま終わってしまうことは理解できるし、新訳が必要なこともわかる。でも、完全に葬りさってしまうのはもったいないよなあ。新潮社は、初心者用と再読者用、二種類もっておくことはできなかったのだろうか。
筑摩書房の中野康司訳は、中野好夫訳を下敷きにしているので(と中野康司さんご自身がおっしゃっていました)、あれを中野好夫訳の後継者と考えればいいのかな。惜しむらくは品格がやや足りないけど。
自負と偏見 (新潮文庫)
原題:Pride and Prejudice
作者:ジェイン・オースティン
訳者:中野好夫
出版社:新潮社
ISBN:4102131035
by timeturner
| 2015-02-04 18:29
| 和書
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