2015年 02月 03日
ダロウェイ夫人 |
丹治訳の『ダロウェイ夫人』は2年前に読み、それなりに満足したのでふつうだったら別の訳者でもう一度読もうとは思わないのだけど、なにしろ土屋政雄さんの新訳なので、ついふらふらと買ってしまった。
だがしかし、土屋訳は予想通りとても読みやすかったのだけど、この捗らなさは異常。二度目で話の展開がわかっているからというのもあるけど、もともと話の展開なんてあってないようなものだし、ただ登場人物たちの意識の流れについていけばいいだけなんだけど。
思うに、ほとんどの登場人物に興味がもてないからじゃないだろうか(エリザベスにはちょっと興味があるけど出番が少ない)。共感なんて甘っちょろいことを言ってるわけじゃない。共感できなくたって小説の中には興味深い人物がたくさんいるし、興味深い出来事や考え方にお目にかかるものだ。なのに、ここではお目にかかれない。どいつもこいつも、すでに「終わっちゃった」人ばかり。はっとするようなことを考えているわけでもない。現実の人生でこういう人たちとカフェかどこかに坐って、自分語りを何時間も聞かされているのを想像してみて。そんな感じなのだよ。
ああ、でも、まだ生きることに欲があった40代、50代の頃に読んだら違っていたのかもしれないな。あるいは、意識の流れをそのまま書く小説手法に初めて接した若者だったら。
ところで、作者名の表記がいまどき珍しく「バージニア」なのはどうしてなんでしょうね。光文社流の表記表でもあるのかな。今はVで始まる固有名詞はヴを使うのが主流だと思っていたのですが。
ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫)
原題:Mrs Dalloway
作者:バージニア・ウルフ
訳者:土屋政雄
出版社:光文社
ISBN:4334752055
だがしかし、土屋訳は予想通りとても読みやすかったのだけど、この捗らなさは異常。二度目で話の展開がわかっているからというのもあるけど、もともと話の展開なんてあってないようなものだし、ただ登場人物たちの意識の流れについていけばいいだけなんだけど。
思うに、ほとんどの登場人物に興味がもてないからじゃないだろうか(エリザベスにはちょっと興味があるけど出番が少ない)。共感なんて甘っちょろいことを言ってるわけじゃない。共感できなくたって小説の中には興味深い人物がたくさんいるし、興味深い出来事や考え方にお目にかかるものだ。なのに、ここではお目にかかれない。どいつもこいつも、すでに「終わっちゃった」人ばかり。はっとするようなことを考えているわけでもない。現実の人生でこういう人たちとカフェかどこかに坐って、自分語りを何時間も聞かされているのを想像してみて。そんな感じなのだよ。
ああ、でも、まだ生きることに欲があった40代、50代の頃に読んだら違っていたのかもしれないな。あるいは、意識の流れをそのまま書く小説手法に初めて接した若者だったら。
ところで、作者名の表記がいまどき珍しく「バージニア」なのはどうしてなんでしょうね。光文社流の表記表でもあるのかな。今はVで始まる固有名詞はヴを使うのが主流だと思っていたのですが。
ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫)
原題:Mrs Dalloway
作者:バージニア・ウルフ
訳者:土屋政雄
出版社:光文社
ISBN:4334752055
by timeturner
| 2015-02-03 20:42
| 和書
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