2014年 12月 24日
A Jane Austen Christmas: Regency Christmas Traditions |
古き良き時代のクリスマスとして私たちがイメージするものは、実はほんの100年ちょっと前、ヴィクトリア朝に確立されたにすぎないというのは前から知っていました。ドイツ生まれのアルバート公がクリスマスツリーの習慣を王宮に取り入れたり、ディケンズの『クリスマス・キャロル』がそれまでクリスマスのお祝いには熱心でなかったイギリス大衆の心に火をつけたりといった話はあちこちで見聞きしましたから。
それじゃあ、ヴィクトリア朝のひとつ前、リージェンシー(摂政時代)の頃はどうだったのでしょう?というのがこの本のテーマ。つまり、ジェイン・オースティンが過ごしたクリスマスってどんなものだったんだろうということです。
いやあ、けっこう驚きました。
この当時はクリスマスイブからボクシングデイまでの3日間だけでなく、降臨節(アドベント)の一週間前(つまり11月中旬)から1月6日の公現祭まで続く期間がクリスマスシーズンで、社交の季節になっていました。中流以上の人たちはハウスパーティーや舞踏会、晩餐会などを頻繁に催し、招きあったのだそうです。そして、子どもたちは乳母やガヴァネスと一緒に子ども部屋にとじこめられ、来客の前には姿を見せませんし、クリスマスプレゼントを受け取ることもありません。ツリーもありません。
同じような顔ぶれでそんなにしょっちゅう集まって何をするかというと、ダンスとゲームと食事。
室内で行われたゲームが何種類も紹介されているのですが、目隠し鬼、ハンカチ落とし、ダルマさんがころんだ、椅子取りゲームといった今では小学校低学年までの子どもしか遊ばないようなものばかりなんです。そういえば前に読んだ『The Diary of A Nobody』でも、大の大人が喜んでやるとは思えないゲームを楽しむ人たちが出てきましたっけ。テレビもラジオも映画もPCもない時代ですから、こんなものなんでしょうか。
『クリスマス・キャロル』でスクルージの甥の家で行われていた目隠し鬼のように、若い男女がいちゃつくための口実となるものも多かったみたいです。
こんなゲームをジェインも喜んでしていたのかなあ。ちょっと信じられない。彼女の作品の中にもそういう場面はほとんどありませんよね? おそらくジェインもそういうゲームよりは家庭内での寸劇や頭を使うゲームを好んでいたんじゃないかと思うのですが・・・。
食事は当時のご馳走のレシピが当時のままの記述でたくさん紹介されていますが、どれもあまり食べたいと思えないものばかりです。というか、そういうパーティを開く主婦は自分で料理しませんから、専任のコックでなければ作れないような料理ばかり出てくるのです。牛の頭をまず煮るところから始まったりね。クリスマスプディング、ミンスパイ、トライフルといったおなじみのお菓子も出てきますが、これもオリジナルのレシピで作ったら現代人には食べられないと思う。
ところでこの本、Jane Austen Regency LifeというシリーズのBook 1になっています。ということは、このあとオースティンの時代の暮らしぶりについて書かれた本が続くということですね。楽しみです。
A Jane Austen Christmas: Regency Christmas Traditions (Jane Austen Regency Life- Book 1) (English Edition)
作者:Maria Grace
出版社:White Soup Press
ISBN:Kindle版
それじゃあ、ヴィクトリア朝のひとつ前、リージェンシー(摂政時代)の頃はどうだったのでしょう?というのがこの本のテーマ。つまり、ジェイン・オースティンが過ごしたクリスマスってどんなものだったんだろうということです。
いやあ、けっこう驚きました。
この当時はクリスマスイブからボクシングデイまでの3日間だけでなく、降臨節(アドベント)の一週間前(つまり11月中旬)から1月6日の公現祭まで続く期間がクリスマスシーズンで、社交の季節になっていました。中流以上の人たちはハウスパーティーや舞踏会、晩餐会などを頻繁に催し、招きあったのだそうです。そして、子どもたちは乳母やガヴァネスと一緒に子ども部屋にとじこめられ、来客の前には姿を見せませんし、クリスマスプレゼントを受け取ることもありません。ツリーもありません。
同じような顔ぶれでそんなにしょっちゅう集まって何をするかというと、ダンスとゲームと食事。
室内で行われたゲームが何種類も紹介されているのですが、目隠し鬼、ハンカチ落とし、ダルマさんがころんだ、椅子取りゲームといった今では小学校低学年までの子どもしか遊ばないようなものばかりなんです。そういえば前に読んだ『The Diary of A Nobody』でも、大の大人が喜んでやるとは思えないゲームを楽しむ人たちが出てきましたっけ。テレビもラジオも映画もPCもない時代ですから、こんなものなんでしょうか。
『クリスマス・キャロル』でスクルージの甥の家で行われていた目隠し鬼のように、若い男女がいちゃつくための口実となるものも多かったみたいです。
こんなゲームをジェインも喜んでしていたのかなあ。ちょっと信じられない。彼女の作品の中にもそういう場面はほとんどありませんよね? おそらくジェインもそういうゲームよりは家庭内での寸劇や頭を使うゲームを好んでいたんじゃないかと思うのですが・・・。
食事は当時のご馳走のレシピが当時のままの記述でたくさん紹介されていますが、どれもあまり食べたいと思えないものばかりです。というか、そういうパーティを開く主婦は自分で料理しませんから、専任のコックでなければ作れないような料理ばかり出てくるのです。牛の頭をまず煮るところから始まったりね。クリスマスプディング、ミンスパイ、トライフルといったおなじみのお菓子も出てきますが、これもオリジナルのレシピで作ったら現代人には食べられないと思う。
ところでこの本、Jane Austen Regency LifeというシリーズのBook 1になっています。ということは、このあとオースティンの時代の暮らしぶりについて書かれた本が続くということですね。楽しみです。
A Jane Austen Christmas: Regency Christmas Traditions (Jane Austen Regency Life- Book 1) (English Edition)
作者:Maria Grace
出版社:White Soup Press
ISBN:Kindle版
by timeturner
| 2014-12-24 20:32
| 洋書
|
Comments(2)
Commented
by
八朔
at 2014-12-24 22:34
x
へー、リージェンシー時代は、ツリーもなくて、ダンスや
ゲームをしていたのですね。もっと厳かにクリスマスを過ごしていたのだと思っていました。
この本、本当に面白そうですね。続きが出たら、また、ブログに載せてくさださい。きっと自分で読むより、Time Turnerさんの解説の方がわかると思います^^
ブローチも細かいところまで描いてあって素敵。
ゲームをしていたのですね。もっと厳かにクリスマスを過ごしていたのだと思っていました。
この本、本当に面白そうですね。続きが出たら、また、ブログに載せてくさださい。きっと自分で読むより、Time Turnerさんの解説の方がわかると思います^^
ブローチも細かいところまで描いてあって素敵。
0
Commented
by
timeturner at 2014-12-24 22:47
オースティンの時代ってどうしてもヴィクトリア朝と混同してしまいがちなのですが、道徳的に厳しかったヴィクトリア朝と違って、かなり自由で享楽的な時代だったようですね。だから、あんな小説が書けたのかなという気もします。
この本、お求めやすいお値段も関係してか、アマゾンでかなり売れてるみたいです。まあ、明日以降は売れ行きが伸び悩むかもしれませんが(^^;)。
この本、お求めやすいお値段も関係してか、アマゾンでかなり売れてるみたいです。まあ、明日以降は売れ行きが伸び悩むかもしれませんが(^^;)。