2014年 10月 30日
宇宙のみなしご |
中学二年生の陽子とひとつ違いの弟リンは、小さいときから二人で何か面白い遊びを考え出しては、忙しくて不在がちな両親のいない寂しさをまぎらしていた。あるとき、とんでもなく馬鹿馬鹿しいけれど面白い遊びを考えつく。真夜中に他人の家の屋根に登るのだ。だが、仲良しグループから外された七瀬が加わり、さらには世紀末オタクの少年まで参加することになって、事態は思いがけないほうにころがっていく・・・。
これまでに読んだ森さんの『カラフル』『ラン』よりは少し対象年齢が低いのかな。でも、全体的な雰囲気は同じです。不登校や自殺といったいまどきの中学生にありがちな現象を描いているけど、登場する子どもたちは大人が心配するより強靭で、しなやかな精神力をもっている。
今回の語り手である陽子には、初めのうち強がってはいるけどどこかもろそうな部分を感じて少し不安だったんですが、それは最後のほうに出てくる、インドに行ってしまった先生の言葉、「人間はみんな宇宙のみなしご」って言葉とつながる心細さなのかもしれない。でも陽子は、自分がひとりであることをわかったうえで、「頭と体の使いかた次第で、この世界はどんなに明るいものにもさみしいものにもなる」と体得している。そうやって、宇宙の暗闇にのみこまれないようにしている。強い。
誰もが陽子みたいに生きられるとは思えないけど、でも、こういう話を読むことで元気が出るのも確か。中学生にはお勧め。
宇宙のみなしご (角川文庫)
作者:森 絵都
イラスト:杉田比呂美
出版社:理論社
ISBN:4652074743
これまでに読んだ森さんの『カラフル』『ラン』よりは少し対象年齢が低いのかな。でも、全体的な雰囲気は同じです。不登校や自殺といったいまどきの中学生にありがちな現象を描いているけど、登場する子どもたちは大人が心配するより強靭で、しなやかな精神力をもっている。
今回の語り手である陽子には、初めのうち強がってはいるけどどこかもろそうな部分を感じて少し不安だったんですが、それは最後のほうに出てくる、インドに行ってしまった先生の言葉、「人間はみんな宇宙のみなしご」って言葉とつながる心細さなのかもしれない。でも陽子は、自分がひとりであることをわかったうえで、「頭と体の使いかた次第で、この世界はどんなに明るいものにもさみしいものにもなる」と体得している。そうやって、宇宙の暗闇にのみこまれないようにしている。強い。
誰もが陽子みたいに生きられるとは思えないけど、でも、こういう話を読むことで元気が出るのも確か。中学生にはお勧め。
宇宙のみなしご (角川文庫)
作者:森 絵都
イラスト:杉田比呂美
出版社:理論社
ISBN:4652074743
by timeturner
| 2014-10-30 18:04
| 和書
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