2014年 08月 09日
来なけりゃいいのに |
OL、幼稚園の保母、美容師・・・幸せとは言えない環境で働く女たちの揺れる心を描いた、ほのかに怖い短編7編。
裏カバーの内容紹介のを見たら、仕事は半人前のくせに口ばかり達者な若いOLたちを勤続20年のお局OLが教育する話だとあったので、津村記久子の『ワーカーズ・ダイジェスト』をはじめとしたオシゴト小説みたいな内容かなと思ったのですが・・・。
中学生を主人公にしたひとつを除けば、確かにいろんな職業についている女たちがそれぞれに悩み、苦しむ話ではあるんですが、なんか違う。津村さんの作品でも主人公たちはつらい仕事環境にぼろぼろになっていましたが、そこにはどこか向こうのほうに明るい出口があるかもしれないという希望が見えていたけど、こっちにはそれがナッシング。どこまで行っても暗くて深い落とし穴がぽっかり口を開けている雰囲気で、実際にみんな落とし穴に落ちちゃうのよね。カバーの紹介を最後まで読んでいなかったのですが、よく見たら最後のところにサイコ・サスペンスと書いてあった!
仕事のストレス話だけでは単調になるところを、多重人格とかサブリミナルといったちょっと非日常的な要素をまぶしたり、思いがけないヒネリを入れて読者を裏切ったりと工夫がこらされていました。
来なけりゃいいのに (祥伝社文庫)
作者:乃南アサ
出版社:祥伝社
ISBN:4396327676
裏カバーの内容紹介のを見たら、仕事は半人前のくせに口ばかり達者な若いOLたちを勤続20年のお局OLが教育する話だとあったので、津村記久子の『ワーカーズ・ダイジェスト』をはじめとしたオシゴト小説みたいな内容かなと思ったのですが・・・。
中学生を主人公にしたひとつを除けば、確かにいろんな職業についている女たちがそれぞれに悩み、苦しむ話ではあるんですが、なんか違う。津村さんの作品でも主人公たちはつらい仕事環境にぼろぼろになっていましたが、そこにはどこか向こうのほうに明るい出口があるかもしれないという希望が見えていたけど、こっちにはそれがナッシング。どこまで行っても暗くて深い落とし穴がぽっかり口を開けている雰囲気で、実際にみんな落とし穴に落ちちゃうのよね。カバーの紹介を最後まで読んでいなかったのですが、よく見たら最後のところにサイコ・サスペンスと書いてあった!
熱帯魚いや、ほんとにサイコでした。状況がというより、主人公たちの心の中がもうね。中には本当に一線を越えちゃっている人もいますが、ほとんどはごく平凡な女性が何かのきっかけで自分を抑えていたダムが決壊して大洪水になっちゃう。「最後のしずく」なんてまさにそうで、逆にこれはこれで読んでるほうとしてはすっきりするんですけどね。うん、この人が結果的にはいちばん幸せになれそうな気がする。
最後のしずく
夢
ばら色マニュアル
降りそうで降らなかった水曜日のこと
来なけりゃいいのに
春愁
仕事のストレス話だけでは単調になるところを、多重人格とかサブリミナルといったちょっと非日常的な要素をまぶしたり、思いがけないヒネリを入れて読者を裏切ったりと工夫がこらされていました。
来なけりゃいいのに (祥伝社文庫)
作者:乃南アサ
出版社:祥伝社
ISBN:4396327676
by timeturner
| 2014-08-09 20:26
| 和書
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