2014年 06月 27日
パーク・ライフ |
いつも行く日比谷公園で見かけたその女性は、地下鉄車内で人違いをして話しかけてしまったときにうまく取り繕ってくれた人だった・・・。第127回(平成14年度上半期)芥川賞受賞作の中編「パーク・ライフ」と、同じくらいの分量の「flowers」収録。
表題作、書き出しはちょっと気負っていて上滑りしているような気がして失敗したかなと思ったけど、読み進めていくうちに肩の力が抜けていい感じに緩くなっていった。公園のベンチに座っているときに過去と現在がするっと交錯する場面や、臓器移植の話から人間の内部にあるものはすべてこの世限りの借り物、マンションとは正反対なんて話が出てくるあたりは巧いなあと思う。こんなふうに日常のなんでもない風景から少しだけ意外な方向にねじってみせるのが得意な作家なのかな。
衝撃を受けたり、深く感動したりということはないけど、うんうん、こういうことあるなあ、と思いながら退屈せずに読めた。
「flowers」のほうは、まあわからなくはない人たちが出てくるし、ガテン系の男たちが生け花をするという目新しい切り口があるものの、「パーク・ライフ」の作者らしくない劇画風の誇張を感じてあまり好きになれなかった。
ところでこの文庫版のカバー画、ストッキングで覆面をして包丁を持っている男(しかもズボンを履いていない)に見えるんですけど、どういう意味なのかな? どっちの話にもそんなこと出てこないんですけど・・・。それとも私、何か読み落としてる?
パーク・ライフ (文春文庫)
作者:吉田修一
出版社:文藝春秋
ISBN:4167665034
表題作、書き出しはちょっと気負っていて上滑りしているような気がして失敗したかなと思ったけど、読み進めていくうちに肩の力が抜けていい感じに緩くなっていった。公園のベンチに座っているときに過去と現在がするっと交錯する場面や、臓器移植の話から人間の内部にあるものはすべてこの世限りの借り物、マンションとは正反対なんて話が出てくるあたりは巧いなあと思う。こんなふうに日常のなんでもない風景から少しだけ意外な方向にねじってみせるのが得意な作家なのかな。
衝撃を受けたり、深く感動したりということはないけど、うんうん、こういうことあるなあ、と思いながら退屈せずに読めた。
「flowers」のほうは、まあわからなくはない人たちが出てくるし、ガテン系の男たちが生け花をするという目新しい切り口があるものの、「パーク・ライフ」の作者らしくない劇画風の誇張を感じてあまり好きになれなかった。
ところでこの文庫版のカバー画、ストッキングで覆面をして包丁を持っている男(しかもズボンを履いていない)に見えるんですけど、どういう意味なのかな? どっちの話にもそんなこと出てこないんですけど・・・。それとも私、何か読み落としてる?
パーク・ライフ (文春文庫)
作者:吉田修一
出版社:文藝春秋
ISBN:4167665034
by timeturner
| 2014-06-27 18:10
| 和書
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