2014年 06月 19日
黒猫ネロの帰郷 |
イタリアの農場で生まれた黒猫(片足の先だけ白い)のネロは、子猫の頃から向こうっ気が強く駆け引き上手で、またたく間に近隣のボスになった。ふとしたことで近くの別荘のドイツ人夫妻に気に入られたネロと妹猫のローザは、夫妻にもらわれてドイツのケルンに移住する・・・。
ドイツで30万部をこす大ベストセラーになった「大人の絵本」だそうです。 100ページにも満たない本で、美しいカラー挿絵がたくさん入っていて、確かに「絵本」という印象。
ネロの強烈な俺様ぶりと、人間側のセンチメンタリズムを排した完全な猫視点というところが新しくて受けたのかな。ネロのあまりのマッチョぶり、男尊女卑ぶりに鼻白むところもあるのですが、それも人間側の勝手な思いなのかもしれない。
年をとったネロが故郷のイタリアに帰るラストでは、男女の違いを越え、老いという共通項で結ばれたためか、なんとなく許してしまった。ドイツ人のイタリアに対する憧れみたいなものが感じられるのも面白い。
それにしても、女性をかなり馬鹿にしたように書いているので、てっきり作者は男性だと思っていたら女性作家でびっくり。あれはきっと猫馬鹿の自分を笑いながら書いていたんですね。
黒猫ネロの帰郷
原題:Nero Corleone
作者:エルケ・ハイデンライヒ
イラスト:クヴィント・ブーフホルツ
訳者:畔上 司
出版社:文藝春秋
ISBN:416316510X
ドイツで30万部をこす大ベストセラーになった「大人の絵本」だそうです。 100ページにも満たない本で、美しいカラー挿絵がたくさん入っていて、確かに「絵本」という印象。
ネロの強烈な俺様ぶりと、人間側のセンチメンタリズムを排した完全な猫視点というところが新しくて受けたのかな。ネロのあまりのマッチョぶり、男尊女卑ぶりに鼻白むところもあるのですが、それも人間側の勝手な思いなのかもしれない。
年をとったネロが故郷のイタリアに帰るラストでは、男女の違いを越え、老いという共通項で結ばれたためか、なんとなく許してしまった。ドイツ人のイタリアに対する憧れみたいなものが感じられるのも面白い。
それにしても、女性をかなり馬鹿にしたように書いているので、てっきり作者は男性だと思っていたら女性作家でびっくり。あれはきっと猫馬鹿の自分を笑いながら書いていたんですね。
黒猫ネロの帰郷
原題:Nero Corleone
作者:エルケ・ハイデンライヒ
イラスト:クヴィント・ブーフホルツ
訳者:畔上 司
出版社:文藝春秋
ISBN:416316510X
by timeturner
| 2014-06-19 21:26
| 和書
|
Comments(2)
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by
nobara
at 2014-06-22 08:53
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「黒猫ネロの帰郷」と「ペンギンの音楽会」を図書館で借りることが出来ました。ドイツ文学の棚にひっそりとありました。こちらの画家の絵は点描のような繊細な感じでゾーヴァとは違う魅力がありますね。
ドン・ネロ・コルレオーネこそ、トバモリーより賢いのではないでしょうか。
猫信者のイゾルデがネロとローザに用意してくれるご飯が、とっても美味しそう!なのに「けなげに料理はするが、垢抜けしない点では天下一品」ですと。作者が女性だから許せますが。ボルマン惣菜店のサーモンとレバーソーセージばかり食べたら腎臓に悪いのでは・・・。塩分は良くないのにとか思ってしまいます。長くてすみません。ドイツ人はイタリアに親愛と憧れを抱いているから枢軸国として同盟を結んだのかしら。
ドン・ネロ・コルレオーネこそ、トバモリーより賢いのではないでしょうか。
猫信者のイゾルデがネロとローザに用意してくれるご飯が、とっても美味しそう!なのに「けなげに料理はするが、垢抜けしない点では天下一品」ですと。作者が女性だから許せますが。ボルマン惣菜店のサーモンとレバーソーセージばかり食べたら腎臓に悪いのでは・・・。塩分は良くないのにとか思ってしまいます。長くてすみません。ドイツ人はイタリアに親愛と憧れを抱いているから枢軸国として同盟を結んだのかしら。
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timeturner at 2014-06-22 22:37
おや、『ペンギンの音楽界』も借りなくては(^^)。読みたい本がどんどん増えてうれしい悲鳴。『ヌレエフの犬』は読みましたよ。
そうそう、私も猫の成人病を心配しました。まだドイツではそういう問題は起こっていないのでしょうか。というか、人間のほうも気をつけたほうがいい人多いですね(^^;)。
そうそう、私も猫の成人病を心配しました。まだドイツではそういう問題は起こっていないのでしょうか。というか、人間のほうも気をつけたほうがいい人多いですね(^^;)。