2014年 04月 13日
アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記 |
その町では、謎の奇病「バフ熱」に冒された男が食用洗濯鋏に余生を捧げ、駅構内のコインロッカーガ溜め息を吐いた。また、加藤剛をこよなく愛する諜報員が「隠密行動」を展開し、国際謀略に巻き込まれた茸学の権威が驚くべき冒険に巻き込まれ、謎の物体「飛び小母さん」が出没する。柴刈天神前を舞台に繰り広げられる短編8つを収録した変態な作品集。
いやあ、奇才(鬼才)だわあ、この人。群像2月号の《変愛小説集》の中で群を抜いて私好みだった(というと、ちょっと人格を疑われそうなんですが)「逆毛のトメ」以来、気になっていた作家です。SFマガジン2003年3月号に掲載されていた短編「さいざんす」も一筋縄ではいかない異色作でした。最近の日本人作家はほとんど読んでいないので、古い人しか思い浮かばないんですが、若い頃に初めて筒井康隆を読んだときのような衝撃とときめきを感じたのです。
だがしかし、私、てっきり女性作家だと思い込んでいました。《変愛小説集》が岸本佐知子さん好みの女性作家を中心にしたコレクションだったもので。考えてみれば、あんなのを書ける女性作家ってかなりキちゃってるとも思えますが、だからこそ衝撃を受けたわけで。あとがきを読んで男性作家だと知ったときに、ときめきは1割減くらいにしぼみましたが、でも、だからといって作品の質が悪いというわけではなく、どれをとってもめちゃめちゃ面白い。
芯になっているアイディアはどれもはちゃめちゃにぶっとんでいるし、話の展開も意表をつくねじれ具合で、どこまでも読者を惑乱させたまま突っ走ります。いや、読んでるときの感覚としてはだらだら続いていくから突っ走ってはいないんだけど。
読者を選ぶ作家だと思います。だめな人は徹底的にだめだと思う。今江祥智さんじゃないけど、ナンセンスのためのナンセンスが許せない人には楽しめないと思います。あ、あと、悪ふざけやグロい表現が嫌いな人も。最後の「闇鍋奉行」だけ時代小説仕立てで、なのにホームズ物のネタが散りばめられていて、もう、なにがなにやら。
巻頭にある友人への献辞が内容をそのまま表していました。
アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
作者:深堀 骨
出版社:早川書房
ISBN:4152085088
いやあ、奇才(鬼才)だわあ、この人。群像2月号の《変愛小説集》の中で群を抜いて私好みだった(というと、ちょっと人格を疑われそうなんですが)「逆毛のトメ」以来、気になっていた作家です。SFマガジン2003年3月号に掲載されていた短編「さいざんす」も一筋縄ではいかない異色作でした。最近の日本人作家はほとんど読んでいないので、古い人しか思い浮かばないんですが、若い頃に初めて筒井康隆を読んだときのような衝撃とときめきを感じたのです。
だがしかし、私、てっきり女性作家だと思い込んでいました。《変愛小説集》が岸本佐知子さん好みの女性作家を中心にしたコレクションだったもので。考えてみれば、あんなのを書ける女性作家ってかなりキちゃってるとも思えますが、だからこそ衝撃を受けたわけで。あとがきを読んで男性作家だと知ったときに、ときめきは1割減くらいにしぼみましたが、でも、だからといって作品の質が悪いというわけではなく、どれをとってもめちゃめちゃ面白い。
芯になっているアイディアはどれもはちゃめちゃにぶっとんでいるし、話の展開も意表をつくねじれ具合で、どこまでも読者を惑乱させたまま突っ走ります。いや、読んでるときの感覚としてはだらだら続いていくから突っ走ってはいないんだけど。
読者を選ぶ作家だと思います。だめな人は徹底的にだめだと思う。今江祥智さんじゃないけど、ナンセンスのためのナンセンスが許せない人には楽しめないと思います。あ、あと、悪ふざけやグロい表現が嫌いな人も。最後の「闇鍋奉行」だけ時代小説仕立てで、なのにホームズ物のネタが散りばめられていて、もう、なにがなにやら。
バフ熱1966年生まれだそうですので、今年48歳ですね。なんだ、そんなに世代間ギャップがあるってほどでもないじゃないか。(と勝手に思う)
蚯蚓、赤ん坊、あるいは砂糖水の沼
隠密行動
若松岩松教授のかくも驚くべき冒険
飛び小母さん
愛の陥穽
トップレス獅子舞考
闇鍋奉行
巻頭にある友人への献辞が内容をそのまま表していました。
アマチャ・ズルチャ 柴刈天神前風土記 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
作者:深堀 骨
出版社:早川書房
ISBN:4152085088
by timeturner
| 2014-04-13 18:41
| 和書
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