2014年 02月 23日
砂男/クレスペル顧問官 |
オッフェンバックのオペラで知られる「ホフマン物語」を構成する3編を「砂男」「クレスペル顧問官」「大晦日の夜の冒険」というオペラの順番通りに並べた作品集。
カバー裏に《サイコ・ホラーの元祖》《恐怖と戦慄に満ちた》なんて書いてあったので、夜眠れなくなるんじゃないかと心配で、昼間に読むようにしたんですが――え!? どこが恐怖と旋律?!
確かに悪魔と思われる存在がそこここに顔を出す幻想的な話ではありますが、登場人物とその行動がすごく大仰で滑稽なので、現代人であり、信仰を持たない読者である私がついつい笑ってしまうのも無理はないと思うのだけれど。それとも感性が鈍いのかな? 解説によると、ホフマン自身、執筆中は怖くてたまらず、妻の手を握りながら書いたというのですが、うーむ、時代の違いでしょうね。
でも、どの作品にも『黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ』と同様、19世紀初頭のヨーロッパの雰囲気があふれていて、楽しめました。あれほどきらびやかではない代わりに、悪魔的なスパイスが効いています。
今回あれっと思ったのは、三つの作品のどれを読んでも、登場人物の描写から『妻を帽子とまちがえた男』を思い出したこと。奇矯な立ち居振る舞いをする人々は、実はホフマン自身が遭遇した人たちをモデルとしているのではないかと思えました。解説を読むと、実際、クレスペル顧問官には実在のモデルがいたらしいし、フロイトが「砂男」を精神分析学的に読みといたこともあるそうなので、上記のような印象をもったのはあながち的外れではなかったのかもしれません。
「大晦日の夜の冒険」に思いがけなくも『影をなくした男』のペーター・シュレミールが出てきたのにはびっくりしたし、うれしかった。これまた解説によると、ホフマンはシャミッソーと面識があり、『影をなくした男』に惚れこんで、自作に取り入れずにはいられなくなったのだそうです。
砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)
原題:Der Sandmann / Rat Krespel
作者:エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン
訳者:大島かおり
出版社:光文社
ISBN:4334752837
カバー裏に《サイコ・ホラーの元祖》《恐怖と戦慄に満ちた》なんて書いてあったので、夜眠れなくなるんじゃないかと心配で、昼間に読むようにしたんですが――え!? どこが恐怖と旋律?!
確かに悪魔と思われる存在がそこここに顔を出す幻想的な話ではありますが、登場人物とその行動がすごく大仰で滑稽なので、現代人であり、信仰を持たない読者である私がついつい笑ってしまうのも無理はないと思うのだけれど。それとも感性が鈍いのかな? 解説によると、ホフマン自身、執筆中は怖くてたまらず、妻の手を握りながら書いたというのですが、うーむ、時代の違いでしょうね。
でも、どの作品にも『黄金の壺/マドモワゼル・ド・スキュデリ』と同様、19世紀初頭のヨーロッパの雰囲気があふれていて、楽しめました。あれほどきらびやかではない代わりに、悪魔的なスパイスが効いています。
今回あれっと思ったのは、三つの作品のどれを読んでも、登場人物の描写から『妻を帽子とまちがえた男』を思い出したこと。奇矯な立ち居振る舞いをする人々は、実はホフマン自身が遭遇した人たちをモデルとしているのではないかと思えました。解説を読むと、実際、クレスペル顧問官には実在のモデルがいたらしいし、フロイトが「砂男」を精神分析学的に読みといたこともあるそうなので、上記のような印象をもったのはあながち的外れではなかったのかもしれません。
「大晦日の夜の冒険」に思いがけなくも『影をなくした男』のペーター・シュレミールが出てきたのにはびっくりしたし、うれしかった。これまた解説によると、ホフマンはシャミッソーと面識があり、『影をなくした男』に惚れこんで、自作に取り入れずにはいられなくなったのだそうです。
砂男/クレスペル顧問官 (光文社古典新訳文庫)
原題:Der Sandmann / Rat Krespel
作者:エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン
訳者:大島かおり
出版社:光文社
ISBN:4334752837
by timeturner
| 2014-02-23 22:30
| 和書
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