2013年 11月 14日
ヴィクトリアン・サーヴァント 階下の世界 |
ヴィクトリア時代、大躍進を遂げた中流階級のリスペクタブルな生活を階下で支えた家事使用人たちの実態を、具体的資料を通して浮き彫りにする・・・。
これまでにもいくつかの本でヴィクトリア朝の使用人については読んできたけれど、どちらかというと使用人の立場から書かれたものが多かった。この本では使用人側と雇用者側の両方の立場の意見も実在の人物が書き残したものから引用しているので、偏らない視点で見ることができる。もっとも、そうしたにしても使用人、特に女性の境遇が悲惨なことは絶対的な真実ではあるのだけれど。
今のイギリス社会で当たり前とされている保険や福祉に関するシステムは、虐げられ苦しんだ無数の使用人たちの墓の上に成立したといっても過言ではないかもしれないと思うと、なんとも言えない気持ちになる。いやな言い方ではあるけれど、あの時代に生れなくてよかったと思ってしまう。私などさしずめ救貧院で最期を迎えた口だろうな。
同じように見下される立場の使用人同士の間にも階級や差別があることはもちろん、まともな理由もなく女性が男性より下におかれ、より厳しい労働を強いられていた事実にはとりわけむかつきます。給料は少ない、労働は多い、社会的地位は低い、虐待もされる、でも生きていく方法がそれ以外にない。なんて恐ろしい時代。まあ、今の日本にだってそういう労働環境はあるだろうけど、その気になれば逃れる道が必ずあるのだから、やはり違う。
最近、ヴィクトリア朝を妙に美化しているのを目にすることがあるけれど、それはあくまでも自分を上流から中流の立場に置いた場合のことで、下層階級の人間として生きるヴィクトリア朝ではないということは忘れないようにしないと、と自戒しました。
ヴィクトリアン・サーヴァント―階下の世界
原題:Rise and Fall of The Victorian Servant
作者:パメラ・ホーン
訳者:子安雅博
出版社:英宝社
ISBN:4269820144
これまでにもいくつかの本でヴィクトリア朝の使用人については読んできたけれど、どちらかというと使用人の立場から書かれたものが多かった。この本では使用人側と雇用者側の両方の立場の意見も実在の人物が書き残したものから引用しているので、偏らない視点で見ることができる。もっとも、そうしたにしても使用人、特に女性の境遇が悲惨なことは絶対的な真実ではあるのだけれど。
今のイギリス社会で当たり前とされている保険や福祉に関するシステムは、虐げられ苦しんだ無数の使用人たちの墓の上に成立したといっても過言ではないかもしれないと思うと、なんとも言えない気持ちになる。いやな言い方ではあるけれど、あの時代に生れなくてよかったと思ってしまう。私などさしずめ救貧院で最期を迎えた口だろうな。
同じように見下される立場の使用人同士の間にも階級や差別があることはもちろん、まともな理由もなく女性が男性より下におかれ、より厳しい労働を強いられていた事実にはとりわけむかつきます。給料は少ない、労働は多い、社会的地位は低い、虐待もされる、でも生きていく方法がそれ以外にない。なんて恐ろしい時代。まあ、今の日本にだってそういう労働環境はあるだろうけど、その気になれば逃れる道が必ずあるのだから、やはり違う。
最近、ヴィクトリア朝を妙に美化しているのを目にすることがあるけれど、それはあくまでも自分を上流から中流の立場に置いた場合のことで、下層階級の人間として生きるヴィクトリア朝ではないということは忘れないようにしないと、と自戒しました。
ヴィクトリアン・サーヴァント―階下の世界
原題:Rise and Fall of The Victorian Servant
作者:パメラ・ホーン
訳者:子安雅博
出版社:英宝社
ISBN:4269820144
by timeturner
| 2013-11-14 19:20
| 和書
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