2013年 10月 23日
Walk Two Moons |
十三歳の少女サラは、家を出た母をたずね、祖父母とともにオハイオからアイダホまで北米横断三千キロの旅に出た。長いドライブの車中で、サラは祖父母に変わり者の親友フィービィとその家族にまつわる話を語り続ける・・・。ニューベリー賞受賞作。
アメリカの広大な風景の中を旅しながらサラが語るフィービーの話の背後には、自らが母に捨てられたという胸痛む思いや、父の女友達に対する嫌悪感、気になる男の子のことなど、思春期の少女の心が繊細に映し出されています。
愛する親に捨てられた子どもの心をこれほど痛切に描いたものは初めて読んだような気がします。つらい、悲しいと直接言葉に出すかわりに、大好きだったこと、すてきだと思ったことを次々に思い出すところでは涙が出てしまいました。子どもにとって母親とはこれほどに大きな存在なんですよね。
とはいえ、心配性で妄想壁のあるフィービーや、自由奔放で気ままに暮らしながらも深く愛し合っている祖父母の笑えるエピソードをあいだにはさみこむことで、お涙ちょうだいの三文小説になることを免れています。両親と暮らした農場での素晴らしい自然に満ちた暮らしの描写も素晴らしい。
後半の思いがけない展開にはうわあ、やられた、と自分の間抜けさを笑いながら、快く感動しました。最後の一行まで気を抜かないところも見事。巧い作家だなあと思う。
Walk Two Moons (Trophy Newbery)
邦題:めぐりめぐる月
作者:Sharon Creech
出版社:HarperCollins
ISBN:Kindle版
アメリカの広大な風景の中を旅しながらサラが語るフィービーの話の背後には、自らが母に捨てられたという胸痛む思いや、父の女友達に対する嫌悪感、気になる男の子のことなど、思春期の少女の心が繊細に映し出されています。
愛する親に捨てられた子どもの心をこれほど痛切に描いたものは初めて読んだような気がします。つらい、悲しいと直接言葉に出すかわりに、大好きだったこと、すてきだと思ったことを次々に思い出すところでは涙が出てしまいました。子どもにとって母親とはこれほどに大きな存在なんですよね。
とはいえ、心配性で妄想壁のあるフィービーや、自由奔放で気ままに暮らしながらも深く愛し合っている祖父母の笑えるエピソードをあいだにはさみこむことで、お涙ちょうだいの三文小説になることを免れています。両親と暮らした農場での素晴らしい自然に満ちた暮らしの描写も素晴らしい。
後半の思いがけない展開にはうわあ、やられた、と自分の間抜けさを笑いながら、快く感動しました。最後の一行まで気を抜かないところも見事。巧い作家だなあと思う。
Walk Two Moons (Trophy Newbery)
邦題:めぐりめぐる月
作者:Sharon Creech
出版社:HarperCollins
ISBN:Kindle版
by timeturner
| 2013-10-23 17:04
| 洋書
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