2013年 10月 20日
不幸な少年だったトーマスの書いた本 |
第二次世界大戦終了後すぐのオランダ。戦争の傷跡はまだ大きく残り、信じていたものを失った人々が盲目的に宗教にすがることもあった時代を描いています。
主人公である9歳の少年トーマスは想像力が豊かで夢見がちな少年ですが、それは聖書を読み、頑なにその教えに従おうとする父親が、その一方で母親や自分を殴る現実から逃れるためでもあります。
魔女だと噂されている、でも実は戦争中にレジスタンスとして活躍していたお婆さんと親しくなることで、トーマスは次第に自らの心を解き放ち、恐怖に打ち勝つ勇気を得るようになるのですが、それを助けたのは音楽や本や淡い恋といったものでした。
宗教と哲学の香りのする児童文学で、日本の子どもにはちょっと難しいかもしれないけれど、現代の社会ではおなじみになった家庭内暴力をファンタジックに描いて分析してみせたものと考えると腑に落ちるのかもしれません。オランダの金の石筆賞受賞。
トーマスの姉のマルホットが、最初のうちは「おおばか」と呼ばれて男の子とお洒落にしか興味がない女の子のように描かれているのに、後半で根性の座ったところを見せて、えらくかっこよくなるのが個人的にはいちばんのツボでした。
不幸な少年だったトーマスの書いた本
原題:Het boek van alle dingen
作者:フース・コイヤー
訳者:野坂悦子
出版社:あすなろ書房
ISBN:4751522108
主人公である9歳の少年トーマスは想像力が豊かで夢見がちな少年ですが、それは聖書を読み、頑なにその教えに従おうとする父親が、その一方で母親や自分を殴る現実から逃れるためでもあります。
魔女だと噂されている、でも実は戦争中にレジスタンスとして活躍していたお婆さんと親しくなることで、トーマスは次第に自らの心を解き放ち、恐怖に打ち勝つ勇気を得るようになるのですが、それを助けたのは音楽や本や淡い恋といったものでした。
宗教と哲学の香りのする児童文学で、日本の子どもにはちょっと難しいかもしれないけれど、現代の社会ではおなじみになった家庭内暴力をファンタジックに描いて分析してみせたものと考えると腑に落ちるのかもしれません。オランダの金の石筆賞受賞。
トーマスの姉のマルホットが、最初のうちは「おおばか」と呼ばれて男の子とお洒落にしか興味がない女の子のように描かれているのに、後半で根性の座ったところを見せて、えらくかっこよくなるのが個人的にはいちばんのツボでした。
不幸な少年だったトーマスの書いた本
原題:Het boek van alle dingen
作者:フース・コイヤー
訳者:野坂悦子
出版社:あすなろ書房
ISBN:4751522108
by timeturner
| 2013-10-20 17:11
| 和書
|
Comments(0)