2013年 07月 12日
Lois the Witch |
イギリスの貧しい牧師のひとり娘として育ったロイスは、父と母を相次いで亡くした。頼る者が誰ひとりいないロイスは母のいまわの際の言葉を頼りに、伯父一家を頼ってアメリカに渡ったが、ようやくたどり着いたマサチューセッツ州セイラムでは厳格なピューリタンの伯母やよそよそしい三人のいとことの想像以上につらい暮らしが待っていた。ただひとり優しかった伯父が半年後に亡くなり、孤立無援となったロイスにさらなる苦難がふりかかる・・・。
前に読んだ『An Accursed Race』はいわれのない差別を何世紀にもわたって受け続けてきた種族のことを調べて書いたノンフィクションでしたが、マサチューセッツ州セイレムで17世紀末に実際に起きた魔女裁判を下敷きに書いた小説です。主人公のロイスは架空の人物ですが、裁判の様子など描かれている内容はかなり史実に沿ったものらしい。
いやあ、読むのつらかったあ。タイトルを見たときはもっとゴシック風の魔女物かと思ったんですが、読み進めていったらセイラムという地名が出てきて、あちゃあと思いました。どう考えたってあの残虐非道な魔女裁判の話に決まってるもの。
それにしても、よくもまあこれだけひとりの娘(しかも信心深くて真面目一方の娘ですよ)に次から次へと不幸を背負わせられるものです。私だったら途中でヒロインに同情しちゃって、何かしら楽しい夢をひとつやふたつ見させてあげるけどなあ。
まあ、この話の究極のテーマは、ひとりの娘の幸福とはなんの関係もないところにあるわけですから、これでいいわけですが、キリスト教とは無関係な風土で育った日本人には結末の部分がどうにも納得できないなあ。まあ、そのあたりはキリスト教徒であり、ヴィクトリア朝人であったギャスケルの限界でもあると思うのですが。
これはたまたま17世紀の魔女裁判の話ですが、同じようなことはいつの時代でも、どの国、どんな宗教あるいは無宗教でも起こり得るわけで、つくづく人間という生きものは恐ろしいと思います。動物の世界でこんなことってめったにないでしょう。集団パニックとか集団ヒステリーのようなものは動物にもあるかもしれないど、そこに複雑な悪意がからむのは人間だけです。
ギャスケルの20作品を収録のKindle本『The Essential Elizabeth Gaskell Collection』の中の一編。Project Gutenbergでも読めます。
邦題:魔女ロイス
作者:Elizabeth Gaskell
出版社:Kindle版
前に読んだ『An Accursed Race』はいわれのない差別を何世紀にもわたって受け続けてきた種族のことを調べて書いたノンフィクションでしたが、マサチューセッツ州セイレムで17世紀末に実際に起きた魔女裁判を下敷きに書いた小説です。主人公のロイスは架空の人物ですが、裁判の様子など描かれている内容はかなり史実に沿ったものらしい。
いやあ、読むのつらかったあ。タイトルを見たときはもっとゴシック風の魔女物かと思ったんですが、読み進めていったらセイラムという地名が出てきて、あちゃあと思いました。どう考えたってあの残虐非道な魔女裁判の話に決まってるもの。
それにしても、よくもまあこれだけひとりの娘(しかも信心深くて真面目一方の娘ですよ)に次から次へと不幸を背負わせられるものです。私だったら途中でヒロインに同情しちゃって、何かしら楽しい夢をひとつやふたつ見させてあげるけどなあ。
まあ、この話の究極のテーマは、ひとりの娘の幸福とはなんの関係もないところにあるわけですから、これでいいわけですが、キリスト教とは無関係な風土で育った日本人には結末の部分がどうにも納得できないなあ。まあ、そのあたりはキリスト教徒であり、ヴィクトリア朝人であったギャスケルの限界でもあると思うのですが。
これはたまたま17世紀の魔女裁判の話ですが、同じようなことはいつの時代でも、どの国、どんな宗教あるいは無宗教でも起こり得るわけで、つくづく人間という生きものは恐ろしいと思います。動物の世界でこんなことってめったにないでしょう。集団パニックとか集団ヒステリーのようなものは動物にもあるかもしれないど、そこに複雑な悪意がからむのは人間だけです。
ギャスケルの20作品を収録のKindle本『The Essential Elizabeth Gaskell Collection』の中の一編。Project Gutenbergでも読めます。
邦題:魔女ロイス
作者:Elizabeth Gaskell
出版社:Kindle版
by timeturner
| 2013-07-12 17:50
| 洋書
|
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