2013年 06月 07日
ネギをうえた人―朝鮮民話選 |
トラ、ウサギ、ネズミ、ネコ、イヌ、カササギ、シラミなどなど、ありとあらゆる生き物とありとあらゆるタイプの人間が繰り広げるおかしな話。素朴な夢と笑いと哀しみにみちた朝鮮の民話33編。
国や人種が違っても人間が考えることは同じらしく、グリム童話や日本昔話(竜宮城や天女の羽衣などはそもそもが中国・朝鮮から入ってきたのでしょうね)で読んだことがある話が出てきます。ただその語り口というか細部にその国の人々の暮らしぶりが垣間見えて、とても興味深い。
葬式に行って、他の参列者たちと一緒にアイゴ、アイゴと号泣したり、花婿が馬から降りるときには地面に足が触れないようもみ俵を置くとか、良きにつけ悪しきにつけトラが出てくるとか。「すがたを盗まれた話」で、人間の爪を食べたネズミがその人間そっくりになるのは、ひょっとしてクローンの原理がその頃からわかっていたとか?
そもそもこの本を読むことにしたのは、表題作を立ち読みしたら冒頭に「そのころは、よく人間が、人間をたべました。それは、おたがいが、牛に見えるからでした」と書いてあったから。えーっ、子ども向きの話なのにーっ?!面白そう!と思ったから。日本でも鬼婆が人を食べる話はありますから、別に珍しいことではありませんが、ここまで真っ向から書かれると驚きますね。
西洋の昔話にも人食い鬼が出てきますし、人類の歴史には消すに消せない汚点があるということなんでしょうか。倫理的に悪いことだとわかっていても、万が一、どうしようもない飢餓が訪れたときに自分を律しきれるかどうかという不安があったのかなあ。
クレジットに訳者の名前がないのですが、編者の金 素雲は『朝鮮民謡集』の日本語訳を北原白秋に絶賛された人なのだそうで、おそらくこの方が訳されたのでしょう。昔風ではあるけれど、とても丁寧できれいな日本語です。
ネギをうえた人―朝鮮民話選 (岩波少年文庫)
編者:金 素雲
出版社:岩波書店
ISBN:4001140896
国や人種が違っても人間が考えることは同じらしく、グリム童話や日本昔話(竜宮城や天女の羽衣などはそもそもが中国・朝鮮から入ってきたのでしょうね)で読んだことがある話が出てきます。ただその語り口というか細部にその国の人々の暮らしぶりが垣間見えて、とても興味深い。
葬式に行って、他の参列者たちと一緒にアイゴ、アイゴと号泣したり、花婿が馬から降りるときには地面に足が触れないようもみ俵を置くとか、良きにつけ悪しきにつけトラが出てくるとか。「すがたを盗まれた話」で、人間の爪を食べたネズミがその人間そっくりになるのは、ひょっとしてクローンの原理がその頃からわかっていたとか?
そもそもこの本を読むことにしたのは、表題作を立ち読みしたら冒頭に「そのころは、よく人間が、人間をたべました。それは、おたがいが、牛に見えるからでした」と書いてあったから。えーっ、子ども向きの話なのにーっ?!面白そう!と思ったから。日本でも鬼婆が人を食べる話はありますから、別に珍しいことではありませんが、ここまで真っ向から書かれると驚きますね。
西洋の昔話にも人食い鬼が出てきますし、人類の歴史には消すに消せない汚点があるということなんでしょうか。倫理的に悪いことだとわかっていても、万が一、どうしようもない飢餓が訪れたときに自分を律しきれるかどうかという不安があったのかなあ。
クレジットに訳者の名前がないのですが、編者の金 素雲は『朝鮮民謡集』の日本語訳を北原白秋に絶賛された人なのだそうで、おそらくこの方が訳されたのでしょう。昔風ではあるけれど、とても丁寧できれいな日本語です。
ネギをうえた人―朝鮮民話選 (岩波少年文庫)
編者:金 素雲
出版社:岩波書店
ISBN:4001140896
by timeturner
| 2013-06-07 19:40
| 和書
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