2013年 04月 15日
羊の宇宙 |
天山山脈の麓の広大な草原でひとり羊の番をするカザフ族の少年。ある日、この少年を年老いた物理学者が訪ねていった。風に吹かれながら、少年と老物理学者は時間が過ぎていくのにも気づかず宇宙の真理についての対話を続ける・・・。
ふええ、不思議な本でした~。ものすごく形而上的かつ禅的な問答が延々と続くんですが、それがちっとも難しくないし、するすると頭に入ってきてすんなり納得できてしまう。ひょっとして急に頭がよくなったんじゃないかと勘違いするほど。
でも、少しするともしかして私は巧妙な詭弁に騙されてるんじゃないか、わかったように思わせているだけで実際には何もわかっていないんじゃないかという気がしてくる。
それでも、最後の最後まで行くと、そういったことはどうでもよくて、ただひたすら広い空の下、広い草原に散らばる羊たちと、岩の上にねころぶ少年の存在だけで世界が満ち足りたような気になる。ほんとに不思議な体験でした。
文章だけだったらそれでも退屈したかもしれないのだけれど、たむら しげるの幻想SF的なイラストでひたすら夢見心地で読んでいけます。
わりと最初のうちに気づくのですが、老物理学者というのはアインシュタインで、死んだことにされているけれど実際には生きていて、もうとっくに100歳を超えてなお頭は健在という設定。少年との対話でかつての情熱を取り戻した博士は、次のステップに向かって進むことを決意するのですが、少年はそれまでと変らず岩の上にねころび、空を流れる雲と草原の羊たちを眺めている、というラストもいい。
日々の雑事に忙殺されて心が過呼吸になったとき、ちょっと立ち止まってゆっくりと読みたい本です。
ところでこれ、前記事の『羊飼いの指輪』と同じ時期に読んだのですが、別に羊に凝っているとかいうわけではありません。たむらしげるさんが挿絵を描いている本を探していたら、たまたまこれに当ったというだけ。いろんなタイプの偶然があるものです。
羊の宇宙
作者:夢枕 獏
イラスト:たむら しげる
出版社:講談社
ISBN:4062090511
ふええ、不思議な本でした~。ものすごく形而上的かつ禅的な問答が延々と続くんですが、それがちっとも難しくないし、するすると頭に入ってきてすんなり納得できてしまう。ひょっとして急に頭がよくなったんじゃないかと勘違いするほど。
でも、少しするともしかして私は巧妙な詭弁に騙されてるんじゃないか、わかったように思わせているだけで実際には何もわかっていないんじゃないかという気がしてくる。
それでも、最後の最後まで行くと、そういったことはどうでもよくて、ただひたすら広い空の下、広い草原に散らばる羊たちと、岩の上にねころぶ少年の存在だけで世界が満ち足りたような気になる。ほんとに不思議な体験でした。
文章だけだったらそれでも退屈したかもしれないのだけれど、たむら しげるの幻想SF的なイラストでひたすら夢見心地で読んでいけます。
わりと最初のうちに気づくのですが、老物理学者というのはアインシュタインで、死んだことにされているけれど実際には生きていて、もうとっくに100歳を超えてなお頭は健在という設定。少年との対話でかつての情熱を取り戻した博士は、次のステップに向かって進むことを決意するのですが、少年はそれまでと変らず岩の上にねころび、空を流れる雲と草原の羊たちを眺めている、というラストもいい。
日々の雑事に忙殺されて心が過呼吸になったとき、ちょっと立ち止まってゆっくりと読みたい本です。
ところでこれ、前記事の『羊飼いの指輪』と同じ時期に読んだのですが、別に羊に凝っているとかいうわけではありません。たむらしげるさんが挿絵を描いている本を探していたら、たまたまこれに当ったというだけ。いろんなタイプの偶然があるものです。
羊の宇宙
作者:夢枕 獏
イラスト:たむら しげる
出版社:講談社
ISBN:4062090511
by timeturner
| 2013-04-15 20:09
| 和書
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