2012年 12月 12日
なんらかの事情 |
『気になる部分』『ねにもつタイプ』に続くエッセイ集第3弾。
エッセイ集とひとことで言ってもいろんなタイプがある。随筆と呼ぶほうが合っているようなのは、どちらかというと作家のお小遣い稼ぎのような感じだし、書くことがもともとの仕事とは関係のない芸能人とかスポーツ選手の場合は、とにかくその人の関することならなんでも知りたいというファンにだけ面白い。それと一般にエッセイストと呼ばれる、エッセイを書くことを職業としている人たちの書くものもあって、そういうのは題材の選び方から全体の長さ、起承転結などすべてがピシっと決まっていてなるほどと感服する。
岸本さんのエッセイは上に書いたどれにもあてはまらない。ごく当たり前の暮らしをネタにしているのかと思って読んでいると、いきなりシュールな展開になり、ぶっとんだ人の書いたものだからと眉に唾をつけながら読んでいると意外に真面目で真摯だったりする。そういうふうに読む側の虚をついて、すっと相手の思惑をそらしてしまうのが上手なんだろうな。読者はいいように振り回され、笑わされてしまう。
それにしても、それほど人と違う生活をしていないのに、というか、人と違わない生活をしているからこそ誰にでも思い当たるような出来事を共有していて、そういう中にとんでもなく面白いネタをみつけ出す才能は稀に見るものがありますね。今回も途中で何度か笑いすぎて喘息の咳が出そうになり、しばらく休憩をとる羽目になりました。
レジで一番遅い列に並ぶ才能に関しては、はっきり言って私のほうが上だと思う。私の場合はレジに限らず、入国管理の列だって銀行の列だってトイレの列だって必ずといっていいほどいちばん最後になる才能があった。「あった」と過去形になるのは、今ではほとんどの列がフォーク並びになったので、才能のあるなしとは関係なく、平等に順番が回ってくることが多くなったから。そういえば、どうしてスーパーのレジだけいまだにフォーク並びを採用しないのだろう?
なんらかの事情
作者:岸本佐知子
出版社:筑摩書房
ISBN:4480815163
エッセイ集とひとことで言ってもいろんなタイプがある。随筆と呼ぶほうが合っているようなのは、どちらかというと作家のお小遣い稼ぎのような感じだし、書くことがもともとの仕事とは関係のない芸能人とかスポーツ選手の場合は、とにかくその人の関することならなんでも知りたいというファンにだけ面白い。それと一般にエッセイストと呼ばれる、エッセイを書くことを職業としている人たちの書くものもあって、そういうのは題材の選び方から全体の長さ、起承転結などすべてがピシっと決まっていてなるほどと感服する。
岸本さんのエッセイは上に書いたどれにもあてはまらない。ごく当たり前の暮らしをネタにしているのかと思って読んでいると、いきなりシュールな展開になり、ぶっとんだ人の書いたものだからと眉に唾をつけながら読んでいると意外に真面目で真摯だったりする。そういうふうに読む側の虚をついて、すっと相手の思惑をそらしてしまうのが上手なんだろうな。読者はいいように振り回され、笑わされてしまう。
それにしても、それほど人と違う生活をしていないのに、というか、人と違わない生活をしているからこそ誰にでも思い当たるような出来事を共有していて、そういう中にとんでもなく面白いネタをみつけ出す才能は稀に見るものがありますね。今回も途中で何度か笑いすぎて喘息の咳が出そうになり、しばらく休憩をとる羽目になりました。
レジで一番遅い列に並ぶ才能に関しては、はっきり言って私のほうが上だと思う。私の場合はレジに限らず、入国管理の列だって銀行の列だってトイレの列だって必ずといっていいほどいちばん最後になる才能があった。「あった」と過去形になるのは、今ではほとんどの列がフォーク並びになったので、才能のあるなしとは関係なく、平等に順番が回ってくることが多くなったから。そういえば、どうしてスーパーのレジだけいまだにフォーク並びを採用しないのだろう?
なんらかの事情
作者:岸本佐知子
出版社:筑摩書房
ISBN:4480815163
by timeturner
| 2012-12-12 22:28
| 和書
|
Comments(0)