2012年 09月 29日
バレエダンサー(上・下) |
5人兄弟の末っ子デューンは、体も小さく目立たない存在で家族の誰からもまともに相手にされていなかった。父親は八百屋の仕事で忙しく、元踊り子の母親はようやくできた娘である姉のクリスタルのことしか頭になかったのだ。だが6歳のとき、クリスタルのレッスンについていったことからデューンはバレエのとりこになってしまう・・・。
映画「リトル・ダンサー」によく似た設定ですが、こっちのほうが盛りだくさん。そりゃそうですよね。映画は2時間かそこらで観客にわかってもらわなくてはならないんだから、そうそう複雑でてんこ盛りなストーリーにはできませんから。
労働者階級の父親から「男の子がバレエなんて!」と反対されるあたりは映画と同じ。でも、デューンには兄が3人もいるのでさらにつらい目に遭います。また、映画のビリーはダンス一筋でしたが、こっちのデューンにはピアノの才能もあります。
両親から甘やかされ、なにごとも自分の思い通りにいかないと気がすまないわがままで勝気な姉クリスタルが最初のうちはとにかく憎たらしくて、周囲の人間がどれだけデューンの才能を認めてもまともにとりあわない無理解な両親にもいらいらし、読者としても気がもめるのですが、後半にいくにつれてデューンだけでなくクリスタルの成長物語になっていくあたりの展開はさすがです。
ドラマチックな要素が多いせいか、いささか少女漫画っぽいと思える部分もあるのですが、もともとバレエと少女漫画の相性はいいですし、ゴッデンの品のいい筆致で描かれているので安っぽくはならず、読みごたえがあります。作者が80歳を過ぎてからの作品だなんて信じられません。
作者のゴッデンは自身もバレエの素養があり、インドでバレエ学校を開いていたこともあるそうなので、文中に出てくるバレエに関する話には説得力があります。ところどころでバレエのポジションやステップについてのイラストも挿入されているので、ちょっとしたバレエ入門書のような趣も。
訳者あとがきによると、この本に登場する人たちはひとりを除いてすべて架空の人物であると作者が言っていたそうですが、そのひとりって誰だろう? プレイボーイのユリ・コゾルスかな? それともマダムと呼ばれる元プリマかしら?
バレエダンサー〈上〉
バレエダンサー〈下〉
原題:Thursday's Children
作者:ルーマ・ゴッデン
訳者:渡辺南都子
出版社:偕成社
ISBN:4037443201
映画「リトル・ダンサー」によく似た設定ですが、こっちのほうが盛りだくさん。そりゃそうですよね。映画は2時間かそこらで観客にわかってもらわなくてはならないんだから、そうそう複雑でてんこ盛りなストーリーにはできませんから。
労働者階級の父親から「男の子がバレエなんて!」と反対されるあたりは映画と同じ。でも、デューンには兄が3人もいるのでさらにつらい目に遭います。また、映画のビリーはダンス一筋でしたが、こっちのデューンにはピアノの才能もあります。
両親から甘やかされ、なにごとも自分の思い通りにいかないと気がすまないわがままで勝気な姉クリスタルが最初のうちはとにかく憎たらしくて、周囲の人間がどれだけデューンの才能を認めてもまともにとりあわない無理解な両親にもいらいらし、読者としても気がもめるのですが、後半にいくにつれてデューンだけでなくクリスタルの成長物語になっていくあたりの展開はさすがです。
ドラマチックな要素が多いせいか、いささか少女漫画っぽいと思える部分もあるのですが、もともとバレエと少女漫画の相性はいいですし、ゴッデンの品のいい筆致で描かれているので安っぽくはならず、読みごたえがあります。作者が80歳を過ぎてからの作品だなんて信じられません。
作者のゴッデンは自身もバレエの素養があり、インドでバレエ学校を開いていたこともあるそうなので、文中に出てくるバレエに関する話には説得力があります。ところどころでバレエのポジションやステップについてのイラストも挿入されているので、ちょっとしたバレエ入門書のような趣も。
訳者あとがきによると、この本に登場する人たちはひとりを除いてすべて架空の人物であると作者が言っていたそうですが、そのひとりって誰だろう? プレイボーイのユリ・コゾルスかな? それともマダムと呼ばれる元プリマかしら?
バレエダンサー〈上〉
バレエダンサー〈下〉
原題:Thursday's Children
作者:ルーマ・ゴッデン
訳者:渡辺南都子
出版社:偕成社
ISBN:4037443201
by timeturner
| 2012-09-29 19:27
| 和書
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