2012年 09月 24日
エルニーニョ |
東京の女子大生・瑛(てる)は同棲相手のDVに嫌気がさし、男のキャッシュカードから20万円引き出すと行く先も決めずに逃げ出した。たどりついたのは南の町の寂れた商店街。そこで出会ったニノという7歳の男の子も何者かから逃げているらしい。南へ南へと、2人の逃避行が始まった・・・。
DV男とその支配から逃れられない弱い女、シャッター通りと呼ばれる地方都市の商店街の振興策といった現実的な話題と、『モモ』や『イソップ物語』といった児童文学や寓話をからめて、現実とファンタジーを融合させて物語っていく手法は直木賞を受賞した『小さいおうち』に近いものを感じます。
商店街で昔ながらの砂糖屋で居場所をみつけるあたりまでは作者の筆も快調に進み、これからどんなふうに展開して驚かせてくれるんだろうとワクワクするのですが、途中からちょっと失速気味。えーっ、こんなふうにしちゃうの? これでいいわけ? まさかこう終わらせるの? と思っているうちに終わってしまいました。
まあ、若い女性向きの軽く読める癒し小説としてはそれなりに満足感を与える結末なのだとは思うのですが、『小さいおうち』の作者の作品だと期待していただけに失望は大きい。まさか結末を考えずに書き始めたとは思えませんが、どこかで何かが掛け違ってしまったんじゃないのかなあ。
エルニーニョ
作者:中島京子
出版社:講談社
ISBN:4062166410
DV男とその支配から逃れられない弱い女、シャッター通りと呼ばれる地方都市の商店街の振興策といった現実的な話題と、『モモ』や『イソップ物語』といった児童文学や寓話をからめて、現実とファンタジーを融合させて物語っていく手法は直木賞を受賞した『小さいおうち』に近いものを感じます。
商店街で昔ながらの砂糖屋で居場所をみつけるあたりまでは作者の筆も快調に進み、これからどんなふうに展開して驚かせてくれるんだろうとワクワクするのですが、途中からちょっと失速気味。えーっ、こんなふうにしちゃうの? これでいいわけ? まさかこう終わらせるの? と思っているうちに終わってしまいました。
まあ、若い女性向きの軽く読める癒し小説としてはそれなりに満足感を与える結末なのだとは思うのですが、『小さいおうち』の作者の作品だと期待していただけに失望は大きい。まさか結末を考えずに書き始めたとは思えませんが、どこかで何かが掛け違ってしまったんじゃないのかなあ。
エルニーニョ
作者:中島京子
出版社:講談社
ISBN:4062166410
by timeturner
| 2012-09-24 20:17
| 和書
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