2012年 08月 18日
闊歩する漱石 |
夏目漱石の初期三作『坊っちゃん』『三四郎』『吾輩は猫である』を鑑賞し、分析し、絶賛する、まったく新しい漱石論。
『坊っちゃん』をフィールディングの『トム・ジョーンズ』と、『吾輩は猫である』をスターンの『トリストラム・シャンディ』と『三四郎』をジェイン・オースティンの作品と対比させながら、この三作を日本におけるモダニズム文学の嚆矢であると断言しているのですが、そのほかにも古今東西の文学作品を自在に引いては論を進める鮮やかな展開に、浅学非才な私はぽかんと口を開けてうなずくばかり。
漱石がロンドン留学で得たものを土台にして小説を書き始めたことはこれまでに読んだ本にずいぶん出てきましたが、ここまで明快に、というか断定的に分析されているのは初めて見ました。作者の博覧強記ぶりに圧倒され、ユニークな分析に度肝を抜かれ、ただただ「へーっ!」と驚嘆しながら読んでしまいました。浅学の徒である私には、どこまで本気でとらえればいいのか見当もつきませんが、とにかく面白いことは確か。生きている頃の漱石にこれを読ませたら、どんな反応があっただろうかと妄想してしまいました。
それにしても文芸評論家というのはすごい人種ですねえ。あらゆる本を読み、記憶・蓄積し、その知識をいつでもすっと取り出せるコンピューターのような頭脳が必要とされる。まあ、文芸評論家の誰もがそれをできるというわけではないのでしょうが、丸谷才一というのはすごい人だという感想がいちばん強烈なこの本の感想。
闊歩する漱石
作者:丸谷才一
出版社:講談社
ISBN:4062753022
『坊っちゃん』をフィールディングの『トム・ジョーンズ』と、『吾輩は猫である』をスターンの『トリストラム・シャンディ』と『三四郎』をジェイン・オースティンの作品と対比させながら、この三作を日本におけるモダニズム文学の嚆矢であると断言しているのですが、そのほかにも古今東西の文学作品を自在に引いては論を進める鮮やかな展開に、浅学非才な私はぽかんと口を開けてうなずくばかり。
漱石がロンドン留学で得たものを土台にして小説を書き始めたことはこれまでに読んだ本にずいぶん出てきましたが、ここまで明快に、というか断定的に分析されているのは初めて見ました。作者の博覧強記ぶりに圧倒され、ユニークな分析に度肝を抜かれ、ただただ「へーっ!」と驚嘆しながら読んでしまいました。浅学の徒である私には、どこまで本気でとらえればいいのか見当もつきませんが、とにかく面白いことは確か。生きている頃の漱石にこれを読ませたら、どんな反応があっただろうかと妄想してしまいました。
それにしても文芸評論家というのはすごい人種ですねえ。あらゆる本を読み、記憶・蓄積し、その知識をいつでもすっと取り出せるコンピューターのような頭脳が必要とされる。まあ、文芸評論家の誰もがそれをできるというわけではないのでしょうが、丸谷才一というのはすごい人だという感想がいちばん強烈なこの本の感想。
闊歩する漱石
作者:丸谷才一
出版社:講談社
ISBN:4062753022
by timeturner
| 2012-08-18 21:39
| 和書
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