2012年 06月 06日
怪物はささやく |
コナーは13歳。両親は離婚し、父親はアメリカに渡って新家庭を築いており、めったに会うことはない。小さな家で母親と暮らしていたが、その母親が癌にかかり、新しい治療を試すたびに衰弱していくように見えた。ある晩、コナーのもとに巨大なイチイの木でできた怪物が現れた・・・。
癌で亡くなったイギリス人作家が遺したアイディアをアメリカの新進作家が形にした作品です。シヴォーン・ダウドは前から『ボグ・チャイルド』を読もうと思いながら果たしていず、この本が彼女の本来の文体とどう違うのか、あるいは同じなのかはわかりません。でも、どちらの作品だとしても素晴らしい。
タイトルといい本文とほとんど同じ比重で挿入されているモノトーンのイラストといい、いかにもホラー・ファンタジーという体裁ですが、実際には少年の心の闇をみつめ、救済の道を探ろうとする真摯な内容です。心理ホラーと言えるのかもしれない。
両親の離婚、癌の母親、学校でのいじめ、祖母との確執などなど、コナーの境遇があまりにも痛ましくて、読んでいる途中で息苦しくなってしまうこともありましたが、それでもやめられずに最後まで一気にいってしまいました。ページ数はそれほど多くないのに(221ページ)、ふつうの本の2冊分くらいの感情が動いたような気がします。ぎっしりと密度の濃い内容でした。
怪物はささやく
原題:A Monster Calls
作者:パトリック・ネス
イラスト:ジム・ケイ
原案:シヴォーン・ダウド
訳者:池田真紀子
出版社:あすなろ書房
ISBN:4751522221
癌で亡くなったイギリス人作家が遺したアイディアをアメリカの新進作家が形にした作品です。シヴォーン・ダウドは前から『ボグ・チャイルド』を読もうと思いながら果たしていず、この本が彼女の本来の文体とどう違うのか、あるいは同じなのかはわかりません。でも、どちらの作品だとしても素晴らしい。
タイトルといい本文とほとんど同じ比重で挿入されているモノトーンのイラストといい、いかにもホラー・ファンタジーという体裁ですが、実際には少年の心の闇をみつめ、救済の道を探ろうとする真摯な内容です。心理ホラーと言えるのかもしれない。
両親の離婚、癌の母親、学校でのいじめ、祖母との確執などなど、コナーの境遇があまりにも痛ましくて、読んでいる途中で息苦しくなってしまうこともありましたが、それでもやめられずに最後まで一気にいってしまいました。ページ数はそれほど多くないのに(221ページ)、ふつうの本の2冊分くらいの感情が動いたような気がします。ぎっしりと密度の濃い内容でした。
怪物はささやく
原題:A Monster Calls
作者:パトリック・ネス
イラスト:ジム・ケイ
原案:シヴォーン・ダウド
訳者:池田真紀子
出版社:あすなろ書房
ISBN:4751522221
by timeturner
| 2012-06-06 21:05
| 和書
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