2012年 05月 28日
クラーケンの島 |
ミネットは両親が離婚したために、ロンドンとスコットランドの両親の間を行ったり来たりする生活を続けてきて、子供なのにすっかり疲れていた。ファビオは亡くなった父親の遺志でイギリス紳士として育てられるため故郷のブラジルからイギリスの祖父母の家に引き取られ、寄宿学校でみじめな日々を送っていた。そんなふたりはある日、謎のおばさんたちに誘拐される。おばさんたちの目的はお金ではなく、地図にない島で伝説の生きものたちの世話を手伝わせることだった・・・。
両親の離婚や学校でのいじめ、甘やかされた子供たちといった現実的な世界と、人魚やセルキー、巨大な海蛇が暮らすお伽の島が同じ本の中でうまくミックスされ、読んだ子供たちに「ああ、あたしも学校に行かずにこの島で暮らしたい!」と本気で憬れさせる効果を与えています。
読んでていやな気分にならないよう、現実社会のほうはいささか過剰なくらい戯画化しているのもミソ。誘拐をめぐるメディアの大騒ぎなど、とても子供向きの本とは思えないほどブラックなユーモアにあふれています。
ただ、ミネットとファビオ、ふたりの子供たちがあまりにもいい子すぎるのと、不思議な生きものがたくさん出てくるわりにそれぞれのキャラクターがいまいち出し切れていないのがちょっと残念。あらゆる動物や植物を癒し、海の自然を守るクラーケンという存在についても、もう少し存在の巨大さを感じさせる描写が欲しかったかな。最後のほうの反撃シーンなど、私の想像力の不足かもしれないけれど、大きな鯨の姿しか頭に浮かべられなかった。
でもまあ、夏休みに子供たちが読むのに最適な本であることは間違いないです。
クラーケンの島
原題:Island of The Aunts
作者:エヴァ・イボットソン
訳者:三辺律子
出版社:偕成社
ISBN:4037446901
両親の離婚や学校でのいじめ、甘やかされた子供たちといった現実的な世界と、人魚やセルキー、巨大な海蛇が暮らすお伽の島が同じ本の中でうまくミックスされ、読んだ子供たちに「ああ、あたしも学校に行かずにこの島で暮らしたい!」と本気で憬れさせる効果を与えています。
読んでていやな気分にならないよう、現実社会のほうはいささか過剰なくらい戯画化しているのもミソ。誘拐をめぐるメディアの大騒ぎなど、とても子供向きの本とは思えないほどブラックなユーモアにあふれています。
ただ、ミネットとファビオ、ふたりの子供たちがあまりにもいい子すぎるのと、不思議な生きものがたくさん出てくるわりにそれぞれのキャラクターがいまいち出し切れていないのがちょっと残念。あらゆる動物や植物を癒し、海の自然を守るクラーケンという存在についても、もう少し存在の巨大さを感じさせる描写が欲しかったかな。最後のほうの反撃シーンなど、私の想像力の不足かもしれないけれど、大きな鯨の姿しか頭に浮かべられなかった。
でもまあ、夏休みに子供たちが読むのに最適な本であることは間違いないです。
クラーケンの島
原題:Island of The Aunts
作者:エヴァ・イボットソン
訳者:三辺律子
出版社:偕成社
ISBN:4037446901
by timeturner
| 2012-05-28 22:36
| 和書
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