2012年 04月 18日
まぼろしの白馬 |
幼い頃に母を亡くし、今度は父が莫大な借金を残して死んだため、一文無しで遺された孤児マリアは、遠い親戚であるベンジャミン卿に引き取られることになり、家庭教師のヘリオトロープ先生と共に600年の歴史を守るムーンエーカー館にやってきた。ここでマリアは村人たちが待ち望んでいた伝説の「月姫」となるべく勇気をふるって冒険の第一歩を踏み出す・・・。
知らずに読み始めたのですが、なんと、私が大好きな映画「ムーンプリンセス 秘密の館とまぼろしの白馬」の原作でした。
そうか、映画としてはたいした出来じゃないのに妙に惹きつけられたのは原作に力があったからなんだ。ただし、ベンジャミン卿のキャラクターはかなり変えてありますし、本の中ではかなり重要な役割をになう牧師は割愛されています。うーん、そのまま映画化したほうがずっとよかったと思うんですが、年配のおじさん貴族では女性客を呼べないと思ったのか、ヨアン・グリフィズに変更したんでしょうね。だから、キャラクターに不自然さがあったんだ。
映画ではインテリアや小道具、衣裳がいかにもフランス映画らしいお洒落な雰囲気でしたが、原作でも子供向けの話とは思えないくらいそういう美しい物についての説明が細々書かれています。訳者あとがきによると、もともとの原作はもっと細々と当時の田舎の風俗が描かれていて、子供にはわかりにくいと判断して省略したと書かれていました。英米でも1976年以降は省略版が出されているとか。英語ネイティヴの子供ですら難しい内容なんでしょうか。省略なしの原文を読みたいものです。
人物の性格描写や人間関係はかなり現実的でリアルなのに、とてもファンタジー的な出来事が次々に起こるという、そのバランスがいい感じなのと、次々と出てくる美しいイメージがわかりやすいのに文学的で、大人が読んでもうっとりしてしまいます。石井桃子さんの訳の力も大きいのかもしれない。
まぼろしの白馬
原題:The Little White Horse
作者:エリザベス・グージ
訳者:石井桃子
出版社:岩波書店
ISBN:4001141426
知らずに読み始めたのですが、なんと、私が大好きな映画「ムーンプリンセス 秘密の館とまぼろしの白馬」の原作でした。
そうか、映画としてはたいした出来じゃないのに妙に惹きつけられたのは原作に力があったからなんだ。ただし、ベンジャミン卿のキャラクターはかなり変えてありますし、本の中ではかなり重要な役割をになう牧師は割愛されています。うーん、そのまま映画化したほうがずっとよかったと思うんですが、年配のおじさん貴族では女性客を呼べないと思ったのか、ヨアン・グリフィズに変更したんでしょうね。だから、キャラクターに不自然さがあったんだ。
映画ではインテリアや小道具、衣裳がいかにもフランス映画らしいお洒落な雰囲気でしたが、原作でも子供向けの話とは思えないくらいそういう美しい物についての説明が細々書かれています。訳者あとがきによると、もともとの原作はもっと細々と当時の田舎の風俗が描かれていて、子供にはわかりにくいと判断して省略したと書かれていました。英米でも1976年以降は省略版が出されているとか。英語ネイティヴの子供ですら難しい内容なんでしょうか。省略なしの原文を読みたいものです。
人物の性格描写や人間関係はかなり現実的でリアルなのに、とてもファンタジー的な出来事が次々に起こるという、そのバランスがいい感じなのと、次々と出てくる美しいイメージがわかりやすいのに文学的で、大人が読んでもうっとりしてしまいます。石井桃子さんの訳の力も大きいのかもしれない。
まぼろしの白馬
原題:The Little White Horse
作者:エリザベス・グージ
訳者:石井桃子
出版社:岩波書店
ISBN:4001141426
by timeturner
| 2012-04-18 20:23
| 和書
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