2011年 03月 10日
レインツリーの国 |
社会人3年生の伸一は、ふと思いついて高校時代にハマって今でも忘れられない本についてネットで検索してみた。そして、あるブログで見た感想が自分の思いにぴったり合い、思い切ってメールを出したことから「ひとみ」とメール友達になる。ひとみの書く言葉に惹かれた伸一は、やがて会いたいと思うようになったが・・・。
はじめのうちはあまりにも青春まっさかりのメール交換で退屈しかけたのですが、途中でひとみが聴覚障害者だとわかり、そこからふたりの間にさまざまな行き違いが生まれるあたりから目が離せなくなります。作者は事前に聴覚障害についてかなり調べ、当事者のアンケートをとったりして準備したようで、これまで考えもしなかったような部分でいかに自分が無神経だったかを思い知らされたりもして、単なる娯楽小説+勉強という読後感がありました。
それにしてもやっぱり巧いですねえ、この作家は。正直言って、ふたりのメールのやりとりは当事者たちが自画自賛しているほど気のきいた文の応酬とは思えないし、伸一の過去の傷も表面に出されてみるといささか無理のある内容だったりと、これまで読んだものに比べると粗さが目立つんですが、それでも強引に読者をつかんで最後まで引っ張っていく力技はさすがです。恥ずかしながら3回ほどうるうるしました。
『図書館内乱』とのコラボ作品だそうで、あちらの作品にこの作品が意味をもって登場するのだとか。それなら読んでみないとと思わせるあたり、商売上手ですな。
作者:有川 浩
出版社:新潮社
ISBN:4103018712
はじめのうちはあまりにも青春まっさかりのメール交換で退屈しかけたのですが、途中でひとみが聴覚障害者だとわかり、そこからふたりの間にさまざまな行き違いが生まれるあたりから目が離せなくなります。作者は事前に聴覚障害についてかなり調べ、当事者のアンケートをとったりして準備したようで、これまで考えもしなかったような部分でいかに自分が無神経だったかを思い知らされたりもして、単なる娯楽小説+勉強という読後感がありました。
それにしてもやっぱり巧いですねえ、この作家は。正直言って、ふたりのメールのやりとりは当事者たちが自画自賛しているほど気のきいた文の応酬とは思えないし、伸一の過去の傷も表面に出されてみるといささか無理のある内容だったりと、これまで読んだものに比べると粗さが目立つんですが、それでも強引に読者をつかんで最後まで引っ張っていく力技はさすがです。恥ずかしながら3回ほどうるうるしました。
『図書館内乱』とのコラボ作品だそうで、あちらの作品にこの作品が意味をもって登場するのだとか。それなら読んでみないとと思わせるあたり、商売上手ですな。
作者:有川 浩
出版社:新潮社
ISBN:4103018712
by timeturner
| 2011-03-10 21:13
| 和書
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