2010年 09月 23日
つぐない |

これはいい! 原作で長々しいと感じた部分(特に戦場のシーン)は短く、でも非情に印象的なビジュアルで見せ、登場人物たちの心の動きは本を読んでいるときにはわからない深い部分まで演技と撮影技術と音楽とで表現しています。映画の力というのはすごいなあと再認識。邦題を「贖罪」でなく「つぐない」にしたのもよかったね。映画に「贖罪」は重過ぎる。
特に素晴らしいと思ったのは、原作ではそのままブライオニーの手記の形で明かされている最後の真実が、映画では年老いたブライオニーがTVのインタビューを受けている形で表現されているところ。ヴァネッサ・レッドグレーヴの驚異的な演技力のおかげもあって、この部分は原作をはるかに超えて感動的で重厚でした。よけいな誕生パーティのシーンが削られていたのも好判断。
シアーシャ・ローナンはこの役のために生まれてきたような少女ぶりだし、キーラもぴったり。マカヴォイは原作を読んでいたときのイメージとはいささか違っていましたが、説得力がありました。イギリスの田舎の屋敷、特に庭は夢のようにきれいで、主人公ブライオニーが夢と現実の境目がわからなくなってしまうのも無理はないなあと思わせます。
私は原作を読んでから映画を見たので、読んでいない人が同じように感じるのか、同じように話の中身を理解できるのかは判断できませんが、原作を読んでから見る人には絶対のお薦め映画です。というか、これを見ないとマキューアンの『贖罪』も深いところまでは理解できないんじゃないかと思うほど。
原題:Atonement(2007)
上映時間:123 分
製作国:イギリス
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ブレンダ・ブレシン、パトリック・ケネディ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジュノー・テンプル、ピーター・ワイト、ハリエット・ウォルター、ミシェル・ダンカン、ジーナ・マッキー、ダニエル・メイズ、ノンソー・アノジー、アンソニー・ミンゲラ、アルフィー・アレンほか。
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by timeturner
| 2010-09-23 18:32
| 映画
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